二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ミッドナイト大作戦☆ ( No.437 )
- 日時: 2012/02/06 14:13
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
明日受験の姫佳さんを応援したいので、姫佳さんのリクを優先して書きたいと思います!
*+*
「それ、綺麗ね。」
瑠璃花が背後を振り向く。そこには先程部屋を訪れてきた友人、ラティアが立っていた。何に対して言われたのか分からない、という瑠璃花の表情。
「そのペンダントよ。」
自室で窓の外を眺めていた瑠璃花は、ホタルガラスのペンダントを見つめた。ホテル内にある売店で売っている品物だ。瑠璃花は買うつもりはなくただ見ていただけだったが、鬼道が買ってくれた。それを右手で触れてから、瑠璃花は笑顔を浮かべる。熱があるせいで赤い頬が、幸せそうに見えた。
「ありがとう、ラティア…」
「!」
目を見開いているラティアに、瑠璃花が首をかしげた。何でも無いわ、と返事をする彼女はよそよそしい。
ザザー、と波の音。
ラティアは、初めて見た瑠璃花の表情に、戸惑いを感じていた。
*
なぜ空いて(あいて)いないんだ!…と、口に出しそうになる、が耐える。出せないだろう、瑠璃花の隣で。彼女は常識を知らない。周りの思惑通りになってしまいそうで、こちらが怖くなる程だ。例えば、ホテルに来たとしよう。部屋数は少なくないのに、他の部屋が全て埋まってしまっている。しかし、自分たちの周りの部屋をノックして、いつも返事がなかったら。
…ただの場所取りだ。誰も泊ってはいない。つまり誰かの策略としか考えられない。今まさしく、そんな状況にいた。
「今日は楽しかったですね!」
「あ、ああ…そうだな。」
だからと言って、瑠璃花と同じベッドでは寝られない。寝られる訳が無い。
「…どうか、しました?」
蘇る始まりの日。
瑠璃花が、ティアラと商店街に遊びに行った日のこと。福引をやっていて、興味本位でやったら1等の旅行が当たった、ととんでもない土産話を持ち帰ってきたのだ。1番の問題は、それがペアだったことだ。男女でないと使えない。
『有人、瑠璃花と一緒に行くよね!?』
『確定事項みたいに言うな。ああ、どうせなら魁渡も…』
『2人で行ってる間に、私と魁渡とラティアでカードゲームしようと思って♪』
ティアラが魁渡をみると、ラティアにカードの面白さは伝わらない、とか何とか言っていたが、結局カードをすると決まっていた。味方はいなくなり、結局俺は場の空気で行くことになってしまった。仕方がない、と思って瑠璃花の方を向くと、視線が合った。小さくお辞儀を返される。
考えてみれば、彼女は他人と2人でどこかに泊まった経験があるのだろうか。そう思えば、これも一種の経験になるだろう。
それに部屋だってもう一部屋とって寝れば済むこと。ペア旅行はテーマパークに行くことになっている。メインはテーマパーク。寝るときに、同じホテルで一部屋とっても問題ないはずだ。そう解釈して納得していた。が、まさか。
まさか、部屋が空いていないと断られるとは。
*
「…ティアラ、クラリス家の名前を下らないことに使わないで頂戴。」
「下らなくはないよ!ただ小さいホテルの部屋を全部とっただけだし、瑠璃花と有人のた(「何でそれが2人の為になるのよ。」
「…そうすれば、無理にでも2人は一緒に寝ないといけなくなるから☆」
「私だったらソファーで寝るわ。」
「!!!!」
*
同じベッドで眠ることだけは避けなければ。部屋を見渡すと、丁度大きめのソファーがあった。家の物に比べれば小さい方だが。
「…俺はソファーで寝る。」
「えっ、あ…はい、」
??!
い…今のは一体何だったのだろう。歩きすぎて、目がおかしくなったのか。いや、常識で考えられない行動を目にしたからと何で焦っているんだ。常識というのは通用しない事もあると円堂を見て知ったではないか。
戸惑った表情を見せた瑠璃花に戸惑っていると、突然部屋のドアがノックされ、返事をする前にホテルのクルーが入ってきた。
見覚えがある様な…いや、それよりも何だこのホテルは。
「失礼します、前のお客様からソファーに虫が巣食っていると情報をいただいたので、回収させていただきます。」
「!!?」
もう一度言わせてもらおう。
・
・
何なんだ、このホテルは。
*
「ティアラ、ソファーは回収したよ。」
『ナイスヒロト!!ばれなかった?』
「多分ね。すぐソファーを回収して出て行ったから。」
『OK!』
「…でもさ、本当に一緒に寝ることになる?俺だったら床で寝るって手段もとるけど。」
『大丈夫、それは絶対にないから!』
「…?妙に自信があるね。」
『まあね、瑠璃花のことはよく知ってるから♪』
*
ソファーで眠るという手段も無くなってしまった。しかしあり得ないだろう、ホテルのソファーに虫??
「鬼道さん、ソファー無くなっちゃいましたけど…;;」
「ああ、じゃあ俺は床で寝よう。」
「!!?だめですっ、だったら私が床で寝ます!!」
「…は、」
「2人で寝たら狭いですから、私が床で寝ます!」
……瑠璃花、良くその考えにたどり着くな。
「だが断る。」
「ダメです鬼道さん、それは受け入れられません!!」
なぜそこまで必死なのか、理解できない。
瑠璃花は最近ようやく風邪が治った身、幾らなんでも下では寝かせられない。だが、このまま説得してもらちが明かない。
…結局、この選択肢しかないのか。
「分かった、一緒に寝よう。」
「え、でも狭い…」
「だったら俺は床で寝る。」
*
…なぜ、俺は瑠璃花と同じ部屋で寝ることをダメだと思っていたのか。常識以外でも理由がある。
眠れない、と本能的に悟っていたのだ。
着替えて布団に入ろうとすると、すでに瑠璃花は目を閉じていた。眠っているのかは分からないが、恐らくもう夢の世界だろう。
布団に入り電気を消した。部屋が暗くなり、隣にいる瑠璃花の表情も全く分からなくなる。安心している自分がいた。ほっとするような、なぜか少しだけ、さみしいような。時々こうなる。瑠璃花をみると、時々…。
恋愛感情?わからない、好き?きらいでは…否、好きだ。
「ッ///」
自分で言って、自分で違う方向に変換してしまうとは。…もしかして、正しい方向?
「…ったかい、」
「!!//」
服の袖を握られて、瑠璃花を振り返る。眠たげな目をしていて、寝ぼけているのは一目瞭然だ。
「…寒かった、のか…?//」
上手く話せない…。
瑠璃花は小さく頷く。その仕草が何だか…愛おしくて。
「きど、さん…」
好きなんだと自覚してしまえば、何かが吹っ切れた気がした。
瑠璃花を引き寄せて、抱きしめて、温かいのか目を細めた彼女の額に、キスを落とした。
寝ぼけているから、明日の朝になれば彼女は何も覚えていないだろう。だからこその行動だと思うと、なんだか…。
( 俺はまだまだ弱虫で )