二次創作小説(映像)※倉庫ログ

強く想っていたのに、 ( No.456 )
日時: 2012/02/13 15:59
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)

「?」

 返事が無い。問いかけたのに、ただ驚いてその男の子は固まっている。ゴーグルの下にある目は見開かれているんだろうな、ぼんやりとそう思う。でも驚いている理由が分からない。私はただ一言、質問をしただけ。普通の質問だと思うし、私が少し落ち着くために返事をしてもらいたい…。私は、もう一度同じ質問を口にした。

「あの、誰なんですか?」

じんじんとドアにぶつけてしまったらしい後頭部が痛む。
私は今、ドアに寄り掛かってしゃがみこんでいる。目の前にいる男の子は、まるで私を引き起こそうとしているようだった。でも私の質問で彼の中の時が止まってしまったらしい。知らない男の子と私、2人の空間。…そういえば私、何でこの男の子と一緒にいるんだろう。ハッと気付いて考えようとしても、力が入らない時の様に、さらりと流された。さっきまで何をしてた?私の、名前、は…?

「るり、か…?」
「っ!!!」

男の子の声を聞いた瞬間、鼻の奥がツンとして、視界がぼやけた。
震え、かすれた声で知らない名前を呼ぶ男の子。怖いと感じた。ここにいてはいけないと感じた。立ち上がって、ドアを押しあける。男の子が動けず、その場に立ち尽くしている気配が纏わりつく。怖い、何もかもが知らない物で出来ているこの世界が。
豪華できらびやかな廊下を走る。どこに行けば良いのかなんて分からない。ただ走っていれば、自分が居るべき場所にたどり着ける気がした。生温かい雫が頬を伝う感触が、嫌いだった。

「わかっ、らない、よっ…!!!」

たどり着いた星が彩る夜空の下、私は心から溢れる感情を、止める事が出来なかった。


















ワタシハナニヲシテイタノ、ネエ、アナタハダレナノ…?





* Fin... *