二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 好意に甘えて ( No.489 )
- 日時: 2012/03/11 23:34
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
!attention!
・ホワイトデー物
・風丸と風花で、結構ラブラブしてるかも…
・駄文。
Are you OK?
**
「…イチロータ君…」
ぎゅ、と俺の背中にまわされた腕に力が入った。彼女は俺の胸に顔をうずめたまま、それ以上何も話さない。
「風花、お疲れ。」
「……悔しい。」
頭をぐりぐりと押し付ける。全然痛くないな、と心の中では苦笑いしながら、右手でそっと撫でた。今日は陸上の大会があって風花は出場した、けれど決勝の直前に足首を捻って棄権となってしまった…。その悔しさは良く分かる。レースの配分もうまく出来ていて、決勝で力を見せつけようという時だったのに。応援に行っていたサッカー部の前での棄権、というのも堪えた(コタエタ)のだろう。
「ネバーギブアップ、だ。まだ大会のチャンスはあるんだから。」
「分かってるよ…。分かってるけど、足壊すと部活も別メニューにされちゃうし…私キャプテンなのに。」
「いや、そこは足大事にしろよ…」
「でも次の大会では良い記録だして憂さ晴らしする、って今決めたから。」
憂さ晴らし…。
顔を上げてキッと睨むようにしていても、悔しさからか涙が滲んでいて可愛いとさえ思ってしま・・・・・・
い、今だけだ!!!
「?イチロータ君…どうかした?」
「なっ、何でもなっ…//」
「?顔赤(「そ、そういえば疲れた時には甘いものが良いよな!今持ってくるから!」
そそくさとその場を退散する俺。1階のリビングから2階にある俺の部屋に逃げ込む。ええと、確かあれはスクールバッグのすぐ隣に…。
「…これも、」
何だか、渡すの恥ずかしい様な…。
**
風花が大会の後家に来るのは、初めてだった。そもそも帰ってきて大して時間は経っていないが、それでも彼女は試合でなかなか負けない上、勝利を収めれば陸上部のメンバーで大賑わいになって家に来る余裕なんてないだろう。だが彼女は満足しない様だ。…俺のタイムと程遠いと嘆いている。いや、女子が俺のタイムを超すというのは結構難しいと思うぞ?風花も全国レベルではあるが…。彼女は正式な場所での勝負も自分の中で行っているらしい。だから今回の怪我による棄権は風花も相当悔しかった様だ。
怪我した彼女は病院に行った後、突然俺の家を訪問してきた。次の大会、ぎりぎりかも。そう言って抱きついてきた。相当沈んでいる様子で、何とかリビングまで連れて来たは良い物の、泣きそうな彼女をどうしたらいいのかと考えるばかりで何もできなかった。ようやく出てきた言葉は在り来たりなお疲れ様、だけで。そこからぼそぼそと会話が出来て、緊張がほどけた。風花が家に来るまで頭の中にあった〝ホワイトデー〟も浮かんだ。バレンタインに貰ったのだ、チョコレートを。
『私、お菓子なる物を初めて作ったのです!!』
可愛い、女の子らしい柄の袋に入っていたのはマドレーヌ。直後は言葉を失っていたが、段々と意味が分かってきて顔が熱くなった。
『バレンタインだから、本と睨めっこして作ったの。』
風花は照れくさそうにそう言って。思わず抱きしめると安心したように体を預ける彼女が、本当に愛おしかった。
そんな彼女へのお返し。結構苦労した。そもそも何をしたら良いのか、何を買えばいいのか、義理以外での経験が無かった俺は悪戦苦闘した。ホワイトデー直前の休みにデパートに行ってみたは良い物の、好みを考えると案外時間がかかる。買ったお菓子がどんなものなのか、俺もよく分からないという事態に。いや、そこは女子が行く所で視線が痛いとかはやく逃げたいとか何度投げ出したくなった事か。…実際、最後は逃げるように出たんだよな。
…という事で今渡そうと思う、お返しという名の戦利品。リビングに続くドアを開けると、突然明かりが消えた。とっさにスイッチを押すも、明るくなる事は無い———停電だ。部屋は闇に包まれ、目を凝らすも何がどこにあるのか見分ける事さえ出来ない。原因は分からないが、窓の外も暗いのだから恐らく辺り一帯停電したのだろう。自然に復旧するのを待つしかない、な…。
そう溜息を吐いた刹那、何かに飛びつかれ、その重さと勢いで後ろに倒れかかる。ドアのふちを掴み耐えると、手に持っていた戦利品が床に落ちた。
「い、いちろ、た君…」
「ビックリした…風花か。寿命縮んだ…」
抱きついてきたのは風花。ビ、ビックリした…ドクンドクンいってる心臓の音が聞こえるんだけど…。
手探りで探し当てたソファーに2人で座る。あの状態の風花にいきなりの停電はしんどかったらしく、ようやく暗闇に慣れてきた目に映る彼女は沈んで見えた。と、その空間に響くメロディー。俺の携帯電話のメール受信音。どこに置いたっけ、と思っているとソファーの前に明るい光が点滅していた。風花がそれを見つめてから、拾い上げる。
「…そういえば、」
俺にその携帯を渡しながら、彼女が口を開く。あまり明るい響きではなく、俺は目を伏せた。
が、直後彼女が言った言葉は予想外の物で。
「私、甘い物食べたいかも。」
「…え。」
目を見開いた。風花はドアの方へ歩いて行くと、さっき俺が落とした戦利品を拾った。落したまま忘れてた…。渡す手間が省けて良かったのか、と一瞬考えたが絶対違う。プレゼントが落ちているなんてそれで嬉しいはずがない。しかも俺は忘れていたんだ。
「昨日イチロータ君がデパートに居たって豪炎寺君が。」
「!?って何で豪炎寺がデパートに」
「マネの皆にチョコ貰ったお返しを、サッカー部の何人かで買いに行ったんだって。」
…やってくれたな豪炎寺。さすが炎の風見鶏でペア組んだ奴は違う。←
はあ、と自分でも大げさなんじゃないかと思うような溜息を吐くと、暗闇に目が慣れたのか迷わず歩いてきて、風花が尋ねる。
「…これ、私が貰って良いの?」
「…あーっと、その…何買ったら良いのか分からなかったんだ、だから…//」
どう表現したら良いのか分からなくなってる、俺の頭。落ち着け落ち着け!!とりあえず深呼吸!!
一方風花がその戦利品を眺めていると、パッと明かりがついた。すると俺も少し落ち着きを取り戻せたらしい。やっぱり電気があると安心できる。ほっと一息つくと、風花が俺の服の袖を引っ張った。顔を上げると。
「イ、イチロータ君…こんな高そうな物、ホントに私貰って良いの…?」
パッケージを見た風花が、凍りついた表情で俺を見ていた。
「私、何をあげたか良く覚えてる。いびつなマドレーヌ。後から考えてみるとすっごく恥ずかしかった!だから私、こんな良い物…」
「でもすごく美味しかったし、何よりその…気持ち、嬉しかったし。」
「…何か、ごめんね。」
そう言いながら風花は包みを丁寧に開けると、ホワイトチョコを1個つまんで口に入れた。おいしいっ、と笑顔になる風花。
「…本当に悪いよ、私あんなマドレーヌだけなのにこんなにおいしい物…。」
「だからそれは、」
「分かった!イチロータ君も少し食べて!!」
はいっ、とホワイトチョコを俺の目の前に差し出す風花。いや、俺は本音を言うと眺めているだけで十分…
「すっごく美味しいから、感動を分かち合いたいな、って…それに1個でも気が済まない位だし。」
……1個でも気が済まない位?
「…そこまで言うなら貰う。」
「うんっ!2個でも3個でも!!」
チョコを受け取ると、さっきより笑顔が輝いて見えた。俺はチョコを口に入れる。甘いそれが溶けていくのを感じ、俺は立ち上がった。テーブルをはさんだ風花の方へ行くためだ。俺に気付くと、風花はチョコの箱を差し出す。けれど。
「っ!?///」
貰ったのは、風花の唇だったり。
** 好意に甘えて **
(ーっ、甘い///)
(っは!俺はいったい何を!!!??///)
+この話が出来上がるまで+
書き始める前:甘い話を書いてみよう!
書き中:う〜ん…チョコ渡して終わりだなぁ…
最初の話完成:これ大して甘くないんですけど!!?
書き直し中:この漢字…あんまり使いたくないけど…変換してて恥ずい;;
この話完成:最後の方怪我絡んできてないし…というか、もう振り返りたくない。
私がどの漢字を使うのが嫌だったのか、推理してみよう☆←どうでもいい
この駄作を読ませてしまって申し訳ありません&読んで下さり感謝感激雨台風(!?)でございます!!!