二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 蝋燭様リク・無邪気少年と雪の中 ( No.503 )
- 日時: 2012/03/30 18:09
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)
*蝋燭様リク・無邪気少年と雪の中*
時期:イナズマジャパン合宿中
設定:〝アツヤ生存〟&日本代表(最後瑠璃姉登場)
その他:ジャンル不明。希望に沿わない内容になっていましたら申し訳ありません。
***
————目を覚ましたら、
「……ッシュ!!」
何かすごい勢いのサッカーボールが、顔面に迫って来た。
ドゴッ(顔面にぶつかった音)、ビュンッ(体がぶっ飛ぶ音)、ズガンッ(木にぶつかった音)、ドサー(木に乗っていた雪が落ちる音)
「えっ!?人が生き埋めに!!?」
…この冷たさ、懐かしい。久々に死にそうだ。
*
「本当にあれ、お前が蹴ったのか?」
「うんっ!」
人を生き埋めにしておいて…生きてたからって無邪気に頷くんじゃねーよこの餓鬼。
橙色の短髪少年は見るからに幼稚園生。子供は風の子か、半袖半ズボンで元気にサッカーしてたらしい。問題は2つ。放ったボールの威力が異常って事と、ここがどう考えても北海道の大雪原という点。俺確かイナズマキャラバンに乗って京都に移動してる最中だった気が…。
「にしてもここ寒…っくしっ」
「その格好だったら当然だろ…上着は?」
「ないー…」
…ハ、いくら運動するからって上着なしはありえないだろ。雪積ってる真冬だぞ?
「家の外でサッカーボール蹴ってたつもりが、気付いたらここに居たし…。あ、お兄ちゃん名前何?サッカーやる?家戻れるまでいっしょにやろー!」
…これだから餓鬼は。
戻れなかったらどうするんだ、気付いたらここに居たから気付いたら帰れるとでも?こののほほん振りは士郎並みだな!
「お兄ちゃん名前!」
「聞くんだったら自分から名乗れよ。」
「かいと。流星魁渡。」
「………吹雪アツヤ。」
「名前と名字が正反対だ!おもしろーっ!!」
…ムカつく。餓鬼相手にムカついてる事もムカつく。
向かい合って座って話し続けると更にイライラしてきそうだ。俺は魁渡の腕の中にあったサッカーボールをひったくって距離をとる。適当に歩いて振り返ってみると、大体6〜7mの間隔が開いていた。魁渡は俺とボールを交互に見てから、ニヤリと笑みを浮かべる。さっきまでとはまるで雰囲気違う…あ、俺みたいだ。
「っし、やるか。」
ボールを2人の間に高く蹴りあげようとした瞬間、ズシンという地響き。そう言えば出るんだよな、大雪原には…山親父。
魁渡ビビるかもな・・・・・・
「…これクマ!?わっすご!!!!ヒグマ?!ツキノワグマ!?!?」
「「……」」
襲われるかもという危機感は無いんだな、こいつ。いや、山親父も困った顔で俺の方見るなよ…。
「アツヤ、これヒグマ?ツキノワグマ?」
「気にしたことねーんだけど…」
「じゃあ名前ヒグヒグにしようっ♪」
「……山親父、俺助けられそうにない。(笑)」
何だヒグヒグって…響き可愛すぎて似合わねーよ!小熊用だろその名前は!
「わーっ、毛フサフサであったかぁ…」
山親父に抱きついてほーっ、と息を吐く魁渡は幸せそうだ。そう言えば寒いって言ってたな。…山親父がト○ロに見えてきた。
まあ魁渡は幸せそうだからしばらくそのままにしておいてやるか。その場に座ってこの餓鬼をこの後どうするか考えておこう。北海道に旅行に来てたとかそういうことだろうし、宿泊場所さえ言えれば、そこは案内できる範囲のはず。…と思考を巡らせていると、何か可愛い音が。
「…くー…」
「「!!?」」
目を疑った。…クマに抱きついて眠っただと!?
常識をしらなすぎる餓鬼だ!山親父が泣きそうな顔で俺を見てるぞ!!普通でかいクマに人は懐かないんだよ!!!
ベリッ(山親父から魁渡をはがす音)、ぼふっ(雪に魁渡が落ちる音)、ごろごろごろ(魁渡が転がっていく音)
「マジか!!?」
この先って…何があったっけ。とにかく雪だるまは死を招くな…人間は寝てると体温調節が出来ないって幼馴染の祖母さんが昔教えてくれた。やばい!!見知らぬ餓鬼を俺が殺すようなものじゃねえか!足がもつれて転びそうになりながら全力で走る。
やがて見えてきたのは黒い谷——え、こんな所に谷なんてあったか?大雪原周辺は良く知っているはずなのに見覚えのないその谷は、雪に包まれた魁渡を飲み込もうとしていた。
間に合わない、間に合わない…
魁渡が暗闇の中へ消えていく。
「魁渡ぉっ!!!!」
*
*
「……という夢を見た。」
「勝手に俺を殺すな。」
「魁渡君、ただ夢を見ただけのアツヤさんに手を上げるのは良くないです!」
おもしろい夢だった。魁渡があんな可愛い性格になってて、ビデオカメラに収めておきたいくらいだ。良い夢でその内忘れるだろうから、そこが本当に残念……って蹴りが飛んできた。瑠璃花に手を上げるなって言われたから蹴りを入れた…ってこの餓鬼!!
「しかも俺変だろ!!!何だよヒグヒグって!」
「そっくりです、すごく小さいころ魁渡君はそんな性格でした。」
「マジで!?」
反射的に聞き返すと、微笑みながら瑠璃花が非常に良い情報を教えてくれた。
「はいっ、幼児期の魁渡君はすごく可愛かったので、生まれて1年も経たない内に島のアイドルになりました♪」
当時の写真を見せてくれと頼んだら、メテオファイナルとかいう体で壁に穴を作れるようになる技を食らった。
**FIN**
性格変わりますよね、可愛かった子でも…そんな切ない気持ちで書いてみました。←
ちなみに瑠璃姉は魁渡君が生まれて1年位の頃の記憶ありません。まだ4歳位なので、話を聞いただけです。しかし魁渡君アイドル時代の写真は両親が撮影したものを数枚所持してます。アツヤ君が見せてと言ったら迷わず見せそうなので魁渡君は対策を練っているとか。
…はい、後半楽しんじゃいました。時間かけて出来たものがこんな作品で本当すいませんでした。