二次創作小説(映像)※倉庫ログ

姫佳様リク*江戸時代でも超次元? ( No.633 )
日時: 2012/08/06 21:08
名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: r4kEfg7B)

第四章
{彼氏と更なる未来人}

「ようやく寝たわね…」
「はい、ようやくです。」

 ラティアが有達の話し合いに参加できなかったのは、魁太が原因である。2人が刃を交える事は無かったが、口論はだんだんヒートアップし、仲裁に入る隙すらなかった。さすがに刀を抜く様な事があれば私が止めます、という言葉でフィディオは参加する事が出来たのである。

「…起きてる時からすれば、可愛いじゃない。」
「本当に申し訳ありませんでした!」
「! 私の方こそ…。どうしても魁渡アイツがチラついて、大人しくさせないと満足できなかったのよ。」

魁太がすやすやと眠る横で、瑠璃は床に着けていた顔を上げた。

「アイツって…魁太に似ているんですか?」
「ええ。」
「…フィディオさんも…ですか?」

ラティアは小さく頷いた。
しばらくの沈黙に、瑠璃は外に出ましょうと立ち上がった。
 縁側に座って上を見上げれば、視界いっぱいに飛び込んでくる星達。瑠璃とラティアは、満天の星空にほほを緩めた。

「それにしても、フィディオさんとラティアさんはすごいですね、他人なのに…2人は意思の疎通が出来てる気がしました。」
「そうだとしても、私の彼氏はイタリアの白い流星だけよ。」

瑠璃はきょとんとして瞬きを2回大きくしてから、そうですね、と微笑む。

「誰かの代わりなんて、世界中を捜しても有り得ないんですよね。」
「例え時空中を捜しても…きっと居ないわ。」
「…私も、そう思います。」

「…ところで瑠璃、」

ラティアが部屋の中に置かれた、有の荷物を見て問いかけた。

「貴女、有が好きなのね?」
「っ!?」

視線を瑠璃に戻すと、彼女の顔が赤くなるのが、ぼんやりとした部屋の蝋燭の炎だけでも分かる。
…図星なのね。

「ですが、有様に相応しい方は他にいらっしゃいます…」

私なんか、と呟いて瑠璃は立ち上がった。
ラティアは、有の荷物を整理し始めた瑠璃の背中を見つめる。

「…分かりやすい子ね。」

ティアラほど恋愛に敏感ではないラティアにも分かるのだ、相当分かりやすい。←

「…え?」

ふと瑠璃の動きが止まり、不思議に思ったラティアが駆け寄ると、彼女は小さな木箱をじっと見つめていた。そして、慎重に、木箱のふたを開ける———現れた物に、瑠璃は目を見開いて。

「……かん、ざし…?」
「?」
「かんざしは、男が女に贈るんだ。婚姻の証として。」
「フィディオ…」

話し合いが終わったのか、フィディオや円堂達が部屋に戻って来た。未来人達はその言葉に、若干驚きながらかんざしとフィディオを見つめる。瑠璃は顔を上げなかった。…有が彼女に気付くまで。

「瑠璃…。」
「! 申し訳ありませんっ、あの…今すぐ蓋し直します、から…」

段々と声は小さくなっていき、最後にはまた俯いてしまった。
運悪く大勢が居合わせる場…しかし有は別段緊張したりという様子も見せず。そして次の言葉に、瑠璃は驚きに目を見開く。

「受け取ってくれるか?」

瑠璃の髪を簡単に結いあげてかんざしを挿すと、彼女は緊張や嬉しさから泣き崩れ、有にしばらく抱きしめられていた。

「…良かったじゃない。」

そっと外に出るラティアに気付いたのは、フィディオだけだった。




「何、してるんだ?」
「…空を見てただけよ。」

 良く見えるから、と付けたすと、フィディオは隣に来て同じように空を見上げる。その彼の横顔は本当に瓜二つで、この世界の異常さに小さく息を吐く。元の時代のフィディオが和服を着ている、そんな風にしか見えないわ…。

「どうかしたのかい?」
「元の時代を思い出してたの…言ったでしょう、貴方にそっくりな人がいるって。」
「元の時代…ラティア、君の祖国の話も聞かせてよ!」

急に手を握って来て、心拍数が若干上がった気がするけど…当たり前ね、白い流星が目を輝かせてこんなにテンション高く私の手を取った事があったかしら。
私は彼の話を聞いたのだから、私の事も話すのが公平と思って頷こうとした、瞬間。

「失礼しま〜すっ!」
「「!」」
「こ〜んな所にいらしたんですかぁ…もっと分かりやすい所にいてくれません?」

……誰?
笠の下から見える水色の髪と紫色の目…作り笑いと視線は私に向いている…けれど、私は彼女の事を知らない。

「君は…?」
「ごめんなさい、私貴方に興味無いの♪」
「え。」

フィディオが…振られてるわ。←

「どうしたんだ、ラティア?」
「守…」
「!」

最初の彼女の声が大きかったのか外に出て来た守達も、彼女の姿に首を傾げる。すると彼女はまた作り笑いを浮かべた。

「皆様お揃いですね、それではゲームを始めます。」

…ゲーム?
この雰囲気…言動からして、敵と見て間違いなさそうだわ…。

「…そもそも、お前誰だ?」
「あら、イナズマジャパンの女子選手さ(「俺は男だぁっ!!」

守になだめられる彼を見ても、相変わらずの笑顔で。

「御挨拶遅れて申し訳ありません、私…ベータ、と申します。」

……女性選手発言、彼女訂正しなかったわ。

「我々は未来から来た、貴様達の元の時代より210年先からな。」
「あら、エイナム。」

200年以上未来から…疑う余地は無いわ。
それにしても科学は発達したのね、簡単に過去と未来を行き来できるまでに。

「もしかして、貴女達が私達をこの時代に飛ばした張本人?」
「ご名答です…もぉ本当ごめんなさい、飛ばすつもりは全然なかったのに、間違えちゃいました。」

…そのポーズ、どこかで見た事があるわ…てへ何とか。興味無いからティアラの言った事聞き流してたのよね…。

「じゃあ、守達は帰れるのか!?」
「もちろんです…、た・だ・し!プロトコルオメガ2.0を、全員倒せたら…の話です。」
「なっ…!!」

エイナムという少年…(多分少年ね)を筆頭に手に武器を所持した少年達が襲いかかってくる。これがゲーム?

「彼等を切り抜けて私の後ろにあるタイムホールまで来れた方は、元の時代に帰る事が出来ます♪」

和服姿の10人…ベータを入れれば11人、何よ、エイリアの時みたいにサッカー勝負かと思っていたら…

「汚ねーぞっ、お前ら!!」
「! 魁太!?」

真剣を手にしたエイナムが守に斬りかかろうとした瞬間、魁太が鉄刀でその剣を受け止めた。エイナムは止められた事に驚いた様子…そんな隙を見せていたら、魁太は容赦しないはず。
直後、予想通り魁太がエイナムを蹴り飛ばした。

「他人の心配してる暇あんのか?」
「!」

目の前に迫っていたのは、光る——。



「「ラティアっ!!」」


光る、刀だった。


*続く*
カオスな江戸パロディ、次回が最終話!
ベータちゃん登場!←
無性に書きたくなったんです、はい、ラティア姫もピンチです、石投げても良いですよ!