二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 『姉弟in名探偵コナン』ストレス発散シュート☆← ( No.691 )
- 日時: 2013/03/28 20:24
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: 7jEq.0Qb)
「行ってきまーす!」
子供っぽい声でいちいち気分を害する事も無くなったこの頃。
体が小学生の俺・江戸川コナンは、いつも通りに元気な、小学生らしい声で挨拶をして、探偵所を飛び出した。
これから公園で少年探偵団のやつらと遊ぶ予定だ。
「コナン君、昨日も言ったけど、今日はお夕飯外に食べに行くから、あんまり遅くならないようにね」
蘭の声に一旦足を止めて、振り返った。蘭は今日、園子と遊びに出かけるらしい。
「うん、分かった!」
蘭がニコ、と笑ったのを見て、俺は駆けだした。
歩美ちゃんと光彦は予定があるって言ってたから、昼前には終わるはず。(にしても8時からって早くねーか?)
そしたら……博士ん家行って、久し振りに道具のメンテナンスでもしてもらうかな。
俺は公園に向かいながら、そんな事を考えていた。
「きゃーっ!!」
そんな悲鳴が、聞こえるまでは。
*
「瑠璃姉ーっ! お前ら、何してくれんだよ!!」
「え、ええと……」
「瑠璃姉はな、昨日の夜から10円で買えるう○い棒しか食べてないんだぞ!?」
「どういう状況ですか……」
「こっちが聞きてーよ! 突然ラジコンヘリを瑠璃姉の顔面に当てるなんて!!」
「なんだよ、普通に飛ばしてたらそのねーちゃんが急にヘリの進行方向に出て来たんだろ」
そんな子供の口論を、通行人たちは少し気に掛けながらも、微笑ましいなぁ、と眺めていた。
痛みを堪える姉の傍らに立っているのは、流星魁渡。
強気な態度で、ラジコンを操作していた2人の少年に突っかかっている。
「元太君、光彦君。お姉さん相当痛そうにしてるよ、謝ろう?」
「歩美、でもよぉ」
遊具で遊んでいた少女が、少年達を止めに入る。
すると、被害者である少女が慌てて立ち上がり、ぺこりと頭を下げた——が。
「ご、ごめんなさい! 私がちゃんとしてなかったから、」
「「「……ひっ!!」」
小学1年生たちは、揃って息をのんだ。
ラジコンが当たった時に怪我をしたのか、血が出ている顔は、彼らに恐怖を与える対象となってしまっていた。
「あ、瑠璃姉、血」
「え、そんなに怖い? 洗ってきた方が良い?」
血が出ているという事は分かっていたらしい瑠璃花は、罪悪感を覚えながら少年達に背を向けた。
すると、ジャージのすそが引っ張られる。
「……これ」
赤みがかった茶髪の少女——灰原哀が、絆創膏数枚を差し出していた。
「え、良いの?」
「ええ(あの子たちが怪我した時のために、って思ってたけど……持ってきて正解だったわ)」
内心ため息をつきながら、哀は元太たちを振り返って、少し睨む。
彼らは背筋を伸ばして、ごめんなさい、と声をそろえた。
(すげー!)
「あ、いえ、私の方こそ——」
ごめんなさい、そう瑠璃花が言おうとした瞬間、道の方から近所迷惑ともとれるほどの大声が響いた。
「おめーらーッ!!」
「「!?」」
「コ、コナン君!?」
「コナン!?(すげー名前!!)」
「ひったくりだ、捕まえろ!!」
瑠璃花と魁渡が驚いたのも束の間、道路に出た歩美の前を、猛スピードでバックを抱えた男が走って行く。
それを見た歩美、元太、光彦はすぐに状況を理解して、犯人を追いかけた。
「江戸川君、またああいうのに遭遇したのね……」
「お前は行かないのか?」
「ええ、力になれそうにないもの」
瑠璃花はお腹のあたりを押さえて、ふぅ、と息を吐いた。
魁渡はそんな姉を見て、ニヤリと笑う。
「エネルギーはう○い棒1本だぜ?」
「いけると思うよ」
「? あなた達……」
目の前を、メガネをかけた少年が走って行った。
「ああ、捕まえたらバッグの持ち主奢ってくれるかもしんねーな」
「それは期待しちゃだめ」
にこっ、と笑ってから、2人は走り出す。
残された哀は、余裕そうな表情の2人を思い出して、顔をしかめた。
*
俺が早朝に遭遇したのはひったくりだった。
奇遇にも被害者は知り合いだったために、全力で走らなければいけない状況だ。
くそ、食後はわき腹が痛え……!
「あー腹へったー」
「それは禁句」
「……へ?」
そんな声が聞こえたかと思うと、左に俺と変わらないか下手したら俺より低い少年、右に中学生くらいの女子が現れて並走していた。
「腹減ったし——」
「だから」
「……瑠璃姉は怪我するし、ひったくりに遭遇するとか、すっげーイライラする何か蹴りたいあの犯人蹴って良い?」
「それは近所迷惑だし過剰防衛の可能性が……」
コイツら、何喋ってんだ?
とりあえずカイト、って呼ばれた少年がイライラしてるのは分かった。
——丁度いい。
「ね、ねえ、僕のベルトからサッカーボール出るんだけど、それ犯人に蹴ったらいいんじゃないかな?」
「は!? ボール出るのか!?」
「距離、空腹だけど問題ないよね?」
ニヤリ、とカイトは不敵に笑った。
「ノープロブレム。瑠璃姉、そいつ持ち上げて」
「え!?」
「私、マジシャンの助手じゃないんだけどな……」
直後、俺の足が地面から浮いた。
俺の直感が言う。コイツら、ヤバい……!!
「夜、気付いたら知らない場所にいて道聞いても『稲妻町? どこそこ?』って言われるし金ないし今朝もほんっとイライラして——」
「コナン君、ボール」
「歩美ちゃん達、どいて!!」
ベルトに手を当ててボールを出すと同時に、俺は叫んだ。
前を走っていた3人が、道の横にそれる。
ボールが落下して、少年が蹴る直前に瑠璃姉、と呼ばれた女子が少年に声をかけた。
「……メテオ、手加減」
一瞬、肩がビクリと跳ねたように見えた。しかし少年は、笑顔で。
「——やっとスッキリできる!」
それは、一瞬だった。
*
「はー、良かったぁ。キッド様の写真が入ってたの!」
「園子……京極さんは?」
『がきんちょ、あのバッグ絶対に取り返しなさい!!!!』
キッドかよ。
苦笑する蘭は、俺たちの方を見て、ごめんね、と園子に代わって言った。
「遊ぶ予定だったんでしょ?」
「でも、今回は……」
俺が振り返ろうとすると、丁度園子が気付いたらしく首を傾げた。
「あの2人、誰?」
「え?」
「さっきのシュート、すごかったね!」
「おめー何者だ!?」
「ただのシュートだって、あんなの」
「ほら、人気者じゃない」
「あの子が犯人を倒したんだよ」
謙遜してるのか、ただの、って言ってるが……あれは、どう考えてもおかしい。
蹴った後はボールがほとんど見えなかったし、しかもボールが犯人に当たって破裂してた。
「どこの小学校に通ってるんですか!?」
「雷光小」
「「「ドコ?」」」
「……コナン、腹減った」
「あはは……」
何故だか分からないが、すごく可哀想だ。
蘭がしゃがんで、カイトに目線を合わせて尋ねる。
「君、何年生?」
「小4」
「がきんちょより3つも年上じゃない」
「あっ、だからコナン君よりシュートすごかったんだね!」
いや、あんなの高校の大会でも見たことねーぞ?
「……魁渡、同い年って思われてたみたいだね」
「うわっ、何で血出てんのよ!!」
「あ、ごめんなさいっ!」
「謝らなくてもいいのよ……?」
なぜこの姉弟はこんな状況にいるのか。
そして、なぜあんなシュートを撃てるのか……。
どんな事件よりも大きな謎が、目の前にいる。
* end *
次は黒バスとか書きたい。←