二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 姫佳さんリク☆急上昇x急接近?!後篇☆ ( No.95 )
- 日時: 2011/10/26 04:01
- 名前: 伊莉寿 (ID: r4kEfg7B)
「イチロータ君、先帰って良いよ…」
「症状悪化してる人に言われても。」
「だって風邪移っちゃうし…」
すっかり重症の風邪に進化して居る風花の風邪。ふらつく足元に咳、潤んだ目に赤い顔と、1人ではとても歩かせられない。それなのに移ることを心配するあたり彼女らしいなとは思うけれど。
「家に着いたらとりあえず着替えて、って…」
彼女の家に着くと風丸は目を見開いた。まさかの本日休業。年中無休のはず、と思って張り紙に目を凝らすと現在旅行中との事。じゃあ風花はどうしたら良いんだ…。
と、キーケースを取り出して彼女は裏の方にまわった。仕入れを整理する時などに使う裏口の扉を開けると、バランスを崩して倒れそうになる。…本当に危なっかしい。
「大丈夫か?!」
答はきっと…大丈夫、なんだろう。
「大丈夫…」
ビンゴ。
風花の部屋まで付き添い、これからどうするべきかと考える。このまま家に置いておくのも何だか…いやそれはあり得ない。張り紙によると明日の朝早くに帰宅予定だった。何もしないで家に戻るなんて選択肢は無い。
「何か食べられそうか?」
「……」
「卵がゆ作るけど。」
「作れるの?!」
「風花のに比べると全然だけど…でも何か食べた方がいいと思うし、お前そんなんじゃ鍋で骨折しそうだし。」
「骨折はしないよ…」
卵がゆは彼女が幼い頃、唯一まともに作れた料理だった。作り方は近くで見ていたし、彼女の父親にも教えてもらった事がある。だからまずくは無いはずだし、風邪の時でも食べやすいだろうと思って。
と言う事で久し振りに雷風堂の厨房に立った。何年振りだろう…、と言うか使って良いのだろうか。事情を離して掃除しておけば大丈夫か、いや大丈夫じゃないと困る。まあ…風花の両親は優しいから大丈夫だとは思うけど。
卵がゆは時々部活の後に食べる。去年の冬は大活躍だった。機嫌が悪かった母親に作ったらすぐ機嫌が直った。変わり様に心の中で笑ったけど。←
「よし、出来た…」
ふた付のカップに入れて風花の部屋までもって行く。ドアをノックすると返事がなかった。恐る恐る開けると、パジャマを着てベッドの中で穏やかな寝息を立てる彼女の姿が合った。
寝てる。
起こすべきではないな…。風邪って寝ないと良くならないし…。
ベッド脇の小さなテーブルの上にふたをしたカップを置いて、彼女に視線を移す。布団を掛け直すと、すっかり熟睡中の風花は身動き一つしな……。
「……ん、」
「っ!」
ビックリした、起きるかと思った…。
寝返りだった。と、左手が布団からはみ出る。それは何か求めているかのように動く。
思わず自分の右手を重ねた。風花の手は温かくて、そして急におとなしくなった。安らぎを得た子猫の様に、表情が緩む。
「…風花、」
その時生まれた感情は何かなんて分からなかった。
ただただ彼女が愛おしくて、ただずっとこうしていたいと思うのに、何か足りないと思ってしまう。
顔を近づけて、生まれて初めて……、キスをした。
自分は風花のことが好きだったんだと、その時になって気付いた。
+*+
「んー、気分スッキリ!」
朝家を出た時、昨日物凄くイチロータ君に心配されていた事なんて嘘かの様に体調が良かった。どうやら卵がゆを作ってもらっている内に寝てしまったらしい私は、目が覚めたら真夜中で空腹で頭がガンガンすると言う最悪な状況にあった訳だけど…。イチロータ君が卵がゆと頭痛薬と置き手紙を置いてくれていたおかげで、朝にはすっかり回復しておりました!お母さん達は大事を取って休んだら、と言ったけど。
私はイチロータ君にお礼を言いたかったし部活も休みたくなかったし…強引に登校中です。←
布団の中は寝心地最高でした、でもやっぱり学校が良いな。楽しいもん。布団の中は居心地が良くても…。
良い夢見てた気はするけど。
「今日も一日がんばろうっ!うん!!」
*学校終了
まさかのイチロータ君欠席。
円堂に聞いたら風邪…って私のせいだよね?!絶対看病してもらったから移ったんだよね?!!!私のせいで…成績に影響が…。←
とにかくお見舞いに言って謝らないと。確か家にみかんがあった気が…それ持ってこ。大丈夫かなぁ、まあ私から移った風邪なら…
イチロータ君の部屋には簡単に入れさせてもらえた。私が行くとビックリした様な顔で視線をそらされたけど。
やっぱ恨んでるかな?←
「イチロータ君、その…」
「…」
ベッドの近くに行って…謝ろう、うん全力で謝罪あるのみ。
「ごめんなさいっ!私風邪イチロータ君に移しちゃったみたいで…」
「いや違うからっ!!!」
「・・・ほぇ?」
何で?
イチロータ君は体を起して私を見ていた。正座してるからか見下ろされてるけど…顔赤い、やっぱり私の風邪だよね?
言いにくそうに、言葉を探してる感じだった。え、まさかのずる休み?←
「あ〜っと……」
「良いよ、怒らないから何聞いても。」
ずる休みだとしても!←
「…本当に?」
「うん。」
「何でも?」
「絶対怒らないよ。」
怒ったらあとで罰金1万請求しても良いよ、って言うと決心がついた様だった。
だけどそこで私は条件反射で。
「あーっ!」
「???!」
「それテレホンカード?!かっわい〜犬〜☆」
凄く可愛い犬のテレホンカードをベッドの奥の枕元に発見してしまって!それが可愛くて可愛くて…。イチロータ君に誰のか聞いたらお母さんがくれたって事で。イチロータ君を飛び越えてそれを見に行きました。危なかったけど。
「わぁ…♪」
「……やっぱり、…」
「?」
何て言ったのか聞こえなかった。
急に体が重くなって、ベッドに倒されたんだって気付いた。温かくて心地いいけど何がどうなってるのかさっぱり分からない。顔を上に向けると目の前にイチロータ君の顔があっ……た、え?
「俺、風邪でおかしくなってるかも。」
「っ?!///」
うん?
これは…スキと言う文字を反対にしたものでは?
「…これ昨日やったんだけど、怒らないか?」
「なっ、何でっ?!!!//」
「風花のこと好きだから。」
すごくまじめな顔で言われたけど…そう言われたのは初めてで。気付けば友達だった私達には、友情関係でも言う必要はなかったから。
「風花は、嫌?」
耳元で言われて変な声が出た。
でも、何でだろう…嫌とか、全然思わない。だって、イチロータ君だもん。
この想いは、すんなり言葉になってくれそうな気がした。
「……私も、イチロータ君のこと好きだよっ///」
*FIN*