二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 短編小説 *戦国BASARA* 【参照1000突破! ( No.133 )
- 日時: 2012/04/08 08:48
- 名前: ナル姫 (ID: 7ZyC4zhZ)
耳障りな雨の音でナルトは夜中に目が覚めた。まだどしゃ降りの雨。その中に、一つの影。ナルトは身構えたが、その必要はなかったようだ。ナルトは慌てて扉を開け、外に出た。外は一層雨の音が酷い。
「政宗!」
影は振り返る。それは政宗だった。
「ナルト…。」
「こんなとこにいたら風邪引くってばよ!早く中入れ!」
いつもなら、チビはうるせぇな、とか、お節介だな、とか、馬鹿にする筈の所。なのに今日に限って政宗は。
「…ごめん。」
素直に謝った。
「ふぇ!?な、なんだってばよ急に!?」
何も言わない政宗。ナルトは、少し心配した。鈍感で、不器用なナルトが。それくらい、おかしいこと。
「…なぁ、…どうしたんだってばよ?」
「…。」
そこでナルトは気付いた。政宗が、右目を眼帯ごと上から抑え込んでいることに。
「…痛いのか?」
「疼くだけだ。」
(あれも、こんな雨の日に起こった。)
「…せめて、さ、眼帯外したら?」
政宗は驚いてナルトを見た。驚きだけではない。不安、それと、怖れ。
「む、無理に取れとは言わねぇってばよ?」
外したことはほとんどない。
ダレガミテルカワカラナイ
「…俺の話、して良いか?」
「ナルトの…?」
「うん。…俺ってば、九尾の化け狐が中にいやがんだ。」
「…!!」
「餓鬼の頃…て、今も餓鬼だけどよ。それで随分苦労したし、寂しかった…。」
「…。」
「だから決めた!俺を化け狐って非難してた奴等に、俺の事を認めさせてやるんだ!」
「認めさせる…?」
「おう!」
ニカッと笑うナルトの笑顔が眩しく左目に映る。
「…何で俺に言った?」
「政宗なら…賭けても良いかなって、思ったんだってばよ。」
「俺が怖がるかもしれねぇのにか?」
「そん時はそん時だ!」
(そうか、こいつは…。)
強いんだな。
ナルトは俺に賭けてくれた。信じてくれた。
賭けても良いかな?
信じて大丈夫かな?
政宗は後ろ髪を掻き分け、眼帯のキツく結んだ紐をほどいた。地面に眼帯は落ちる。それを屈んで拾った。ナルトの顔を見る。あぁ、やっぱりな。目を大きく見開いていた。所詮、そんなもんだ。何を期待していたんだ。
だけど。
「痛み、ひいたか?」
「え…?」
何で、そんなこと聞くんだよ?
「な…何だ、よ?お前は…怖く、ねぇのかよ…!?」
醜く残る、右目を切り取った際の傷痕。無数の青白い痘痕。
「?何で?」
「だっ…て、…こんな、だし、目、ねぇんだぞ!?」
「怖くねぇよ。」
「何でっ…!」
母でさえ、拒んだのに?
「そーんな泣きそうな顔の何処が、怖いんだってばよ?」
驚いた様な政宗の顔。
—あぁ、そうか、政宗は—…。
サクラちゃんをハニーなんて呼んで、サスケに対して勝ち気で、俺をチビだとか何だとか馬鹿にするくせに…それは仮の政宗で、本当は自分の小さな闇にこんなに怯える程、怖がりで繊細なんだな…。本当は、心の奥で、寂しくて叫んでる彼奴がいるんだな…。
「ありがとうな、政宗。…俺に賭けてくれて。」
「…。」
「お前の勝ちだってばよ!」
「…!」
「中、入ろうぜ!」
「…あぁ。」
照れ臭いから、心の中でありがとうと言って。
空は、いつの間にか泣き止んでいた。