二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 短編小説 *戦国BASARA* ( No.20 )
日時: 2011/10/29 16:43
名前: ☆Milk☆ (ID: QUoEIXRu)

*信じてる from Mom*    〜義姫と政宗〜




「義姫様、藤次郎政宗、此の度父の命により、伊達家当主の座を継ぎました。」
十八になったばかりの息子は、私のところへ挨拶をしにきた。
先ほど式を終え、あの人によって私のところへ挨拶に行くよう言われたのだろう。
「めでたきこと。立派に努めなさい。」
私の口からは乾いた言葉しか出ない。
この子は完璧だった。
剣も学問も何一つ欠けていなかった。性格だって、お人好しなあの人と、強気な私の両方の正確をちょうど良く受け継いで・・・。将来伊達家は絶対安泰だと思ったのに。
疱瘡を患ったとき、どれほど天を恨んだことか。何て仏は不公平なものかと。
左は美しいのに、前髪のかかった右側は醜く痘痕(あばた)が残ってしまった。右目は潰れ、距離感もつかめない。そんな子を、本当なら慰めなければいけなかった。でも・・・どうしても、受け入れられなかった。
現実を信じることができなかったから、『化け物』と思うことにした。
そんな私はもう母として失格よね。
もう、母上なんて呼んでくれないわよね。
私はあなたに、深い傷を作ってしまったもの。
後悔しても、元には戻らないわ。
部屋から出ようとしたとき、微かに聞こえた。

「母上・・・。」

蚊の泣くような声で。
もっとも、聞こえないように言ったのかもしれない。
後ろを向いているから、表情はわからない。泣いてる?うなだれてる?
聞こえたのは気のせい?
「それしか・・・言ってくれないんですか・・・?」
とぎれとぎれに聞こえた。
懐かしい・・・。いつか、聞いたことがある。
そうだあの子の目がまだ両方健全な時、私がいないとすぐあんな声で泣いたっけ。
「母上は・・・俺のこと・・・ほんとに、化け物だって、思って、るんですか・・・?」
声はかすかに震えていた。
泣いているのね。可哀想に。
私には何もできない・・・でも、これだけ言わせて?
「ごめんね・・・政宗。」
「母、上?」
「私ね、ほんとに後悔してるの。拒絶しちゃったけどね、大切に思ってるのよ。今日もほんとに嬉しいの。乾いた声だから嘘みたいに聞こえると思うけど、本当よ。・・・もうちょっと時間くれたら、また暖かい声で話しかけるから、待っててくれる?」
政宗は驚いているのか、何も言わない。
「・・・あの人の後を継いで、奥州を・・・天下を統一するのね。あなたならできるわ。頑張って。

信じてるわ、梵天丸。」




「?梵?どーしたの?なんか機嫌いーね?輝宗様にあのクソ親父っていってったのに。」
「ん?ちょっとな♪」