二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 短編小説 *戦国BASARA* ( No.51 )
日時: 2012/02/05 13:19
名前: ☆Milk☆ (ID: BKGAQbzV)

暑い。

8月15日。
俺はベッドの上で寝転がっていた。
蝉の声が耳に響く。

ケータイを見ると、着信があった。もう三十分も前だ。
「・・・やべ。」
いつきからだ。急いでいつきのケータイにかける。
ワンコール、ツーコール、スリーコールでいつきは出た。
<おそーいっ!公園で待ってるから早く来るべ!>
ケータイの向こうからキーキー声が聞こえる。そうとう怒ってるんだな、と思いながら分かったと呟く。

十分くらいで公園についた。
時刻は十二時半。
「あー!何やってたんだべ!?」
「寝てた。で、何の用だ?」
そう言うと、いつきはバカと言ってそっぽを向く。分かってる。ただ暇だから彼氏の俺を呼んだだけなのだ。
「・・・あちぃな・・・。」
「・・・オラも、夏は嫌いだな。」
いつきは猫を抱いていて、その猫を撫でながらふてぶてしく言った。
「楽しいこと、ないだかな・・・。」
そういった時、いつきの腕から猫が逃げ出す。
「あぁ!待つだよ!」
いつきは慌てて猫を追った。すぐ捕まる、と思ったのは大きな間違いで。
信号の点滅に気づいていなかった。

青が、赤になった。
トラックが走ってくる。
「いつき!!」

俺の声はいつきまで届かず、トラックのクラクションの音と、何かがぶつかるような音が一緒になった。
どこも血まみれ。
信号、トラック、道路、標識。
動かないいつき。
血の色といつきの香りが混ざり合って咳をした。

その時俺の目に写った、陽炎。
『嘘じゃないぞ。』
俺の耳にはそう聞こえた。

蝉が泣く。すべて闇に包まれて、やがて何も聞こえなくなった。

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「う・・・うぅ・・・。」
寝苦しくて目を覚ました。ベッドが汗で濡れている。
ケータイが鳴った。8月14日。

いつきと公園にいた。そして、ぼんやりとしていた夢を思い出す。
血まみれのいつき。嫌な予感しかしなかった。
「・・・もう、帰ろうぜ。」
「え?まだ来たばっかりでねぇか。」
「・・・いいじゃん、暑いし。」
理由なんて、言えるはずも無く。

道に出た。たくさんの建物がある道。クレーン車が一台、何かを上に運んでいる。
いつきはつまらなそうな顔をしていた。でも、あのまま公園にいたら・・・結果は分かっている。
様子が変だ、と思ったのは前を向いたとき。周りの人が、全員上を向いて、口を開けている。

ガシャンという、音がした。

いつの間にか俺の前に板いつきに、鉄の柱が刺さってる。俺は声すら出ない。周りの人の劈くような悲鳴と風鈴の音が、俺の耳の中で回り、木々の隙間を抜けていく。。

また出た、陽炎。
『夢じゃないぞ。』
嗤っている。

一瞬三田いつきの横顔は、笑ってるように見えた。

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逃げろ、逃げろ。何処か、あいつがいないところへ。
陽炎がいないところ。

どこに行っても、付いてくる。

どこへ行っても、いつきは死ぬ。

何十年分の8月14日。

やっと答えと見つけた、いや、もう気が付いていた。

こんなよくある話なら結末は一つだけだろうから。

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いつきの腕から猫が逃げる。
その先に信号、点滅している。横にトラック。
俺もいつきを追った。

いつきの腕をつかんで、俺の後ろに押し返す。俺はそのはずみで、道路に飛び出す。

トラックのクラクションが響くことさえ、心地よいと感じる。
瞬間、何か強い衝撃を受けた。
痛い。
感じるのはそれだけ。

陽炎がいた。何か言いたげな。
『ざまあみろよ。』

ずっと繰り返した、よくある夏の日が、ようやく終わった。

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「・・・また・・・ダメだっただな・・・。」
「ニャー・・・。」

ただ少女は、猫を抱いていた。




あれ?なんでカゲロウデイズなんだろ?
ちょっとおかしかったようです。
許してくだされぇ!!