二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 短編小説 *戦国BASARA* ( No.60 )
日時: 2012/02/22 18:18
名前: ☆Milk☆ (ID: tCmJsotq)

just be friendsです。

天の神様、仏様。

俺の願いを、勝手な俺の願いを、叶えて下さい。一度だけでいいから。叶うなら、何度でも生まれ変わって…

あの日の君に、会いに行きたい…。

「あのさ…、付き合ってくんない?」
「…マジ?」
「…うん。」


中3の春。俺の、二年間の片思いが実を結んだ。

中1の春、同じクラスの隣の席になった、ルカ。

「君、私の隣?私、巡音ルカ。よろしく!」
「俺…伊達政宗。よろしく。」
「伊達君ね!」

天使みたいな、ふわふわの笑顔。桜色のさらさらの髪。一言で言えば、可愛い子。それがルカ。

この日から、俺の恋は始まった。

二年でも同じクラスで、喧嘩して、笑って、泣いて、励まし合って。
抑えきれない俺の想いを、三年の始まりに言った。


「…うん。あ、まぁ、な。俺右目ないし、気味悪いと思うけど…ま、考えといて欲しい。」
言ったその瞬間、ルカは俺に抱きついて。

「私さ、好きな人には告白されたいタイプなんだよね。ありがと!二年も待っちゃった!」

こんなに、まどろっこしい俺を、二年も待っていてくれた。嬉しいのと、幸せなのが一緒になって、涙でた。俺もルカを抱き締めた。

それでも、人は、完全にはひとを理解できない。俺たちには、何時からかすれ違い始めた。きっかけは、本当に小さな事。
「…政宗、最近疲れてる?」
「…いや、大丈夫…。」
ルカには心配させたくなくて、ちょっと無理をしていた。実際は、家での重荷に耐えきれず、疲れが溜まっていた。
「ねぇ、やっぱり政宗顔色悪いよ。」
「大丈夫だって…。」
<ドタッ>
「ま…政宗!!」

「ねぇ、何で言ってくれなかったの?私、政宗なら何でも話してくれるって信じてたのに!」

「…貴様ら、付き合っているのか?」
「一応。」
「破廉恥な!」

クラスの奴等に、何度聞かれたか。端から見れば、恋人同士に見えない俺たち。それでも、心では繋がっていると信じてた…信じたかった。それでもどんどん遠くなる距離に恐れを覚え、『別れる』という考えが沸いてきた。
俺はルカにそんなこと言えず、二人の時間は止まったまま、時は過ぎた。

「…だが、好きなのだろう?」
「当たり前だろ。」
「なら、そう言えば良いだろう。」
「無理だろ、戻れない。」

好きだ。好きだ。好きだ。

「好きに決まってんだろーー!!」

声を枯らして叫ぶ想いも、君には全く届かない。

だって聞いても苦しいだけ。
俺の叫び声は何処かで跳ね返り、残響となって虚しく響くだけ。俺たちを繋いでいた絆も綻び、ほどけ、やがて見えなくなっていく。

「なぁ、俺は…ルカを『恋人』って鎖で縛ってたのかな…。」
「なんと…貴殿らしくない。」

もしそうだと言うのなら、この鎖を外してあげたい。この鎖でルカが苦しむなら。

でも俺は、外す事も、別れを告げる事も出来ない。


だから、天の神様、仏様。俺の願いを、叶えて下さい。あの日のルカに、会わせて下さい。

だって、

作ってもらった朝飯も、
おごってあげたジュースも、
作った雪だるまも、
燃えた雪合戦も、
似合う眼鏡姿も、
見に行った紅葉も、
拗ねた顔も、
草はらで聞いた音楽も、
花に水をあげたのも、
運動会のフォークダンスも、
貸したギターも、
綿飴食べた夏祭りも、
桜の咲いた卒業式も、
二人乗りした自転車も、
クリスマスにあげた指輪も、

全部、嘘じゃないから。

そうだろ?ルカ。

声を枯らして叫ぶ俺も、ルカも、もう思い出を胸に刻み、振り向かずに歩いていくしかない。
そうだって、知ってるだろ?

「ルカ、ありがとう。」
「…何が?」
「…俺は…ルカを愛してる。でもさ、やっぱりもう限界なんだよ。ルカも、気付いてるだろ?」
「…うん。」
「でも、ルカとの思い出は忘れないから。だからルカも忘れないで。」
「…ねぇ、政宗。最後にお願い聞いて?」
「うん。何?」
「最後の、キスして。」
「…わかった。…愛してるよ、ルカ。」

優しく、長めにキスをした。


「…上手く行ったのでござるか?」
「いや?別れた。」
「そ…れにしては随分スッキリした顔してる…な。」「あぁ…。まぁ、な。」

これももう、必要ないな。


指輪を外して、丁寧にポケットにしまった。