二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 短編小説 *戦国BASARA* ( No.9 )
- 日時: 2011/10/21 16:30
- 名前: ☆Milk☆ (ID: jl644VQ0)
*君のことを思う雫* 〜慶次とねね〜
「・・・慶次、私あの人と結婚することになったの。」
「え!?」
ねねと一緒に城下を歩いているとき、突然言われた。
あの人とは秀吉のことだ。
織田家の血を引き、前田家の養子となった俺には、秀吉と浅からぬ縁があった。秀吉は今、尾張を統一した戦国武将・・・織田信長の足軽。俺と仲が良かったし、利の家と秀吉の家は隣だった。
ねねは俺の好意に気づいている。でもねねは秀吉を愛している。
俺もそのくらい気づいていた。
「・・・そっかぁ・・・。秀吉がねぇ。・・・秀吉はきっとこれからばんばん出世するから生活楽になるかもな。」
「慶次も、そのくらいの腕があればどこかに仕えられるじゃない?その気になれば天下だって・・・。」
「それ、この前秀吉にも言われたんだけど・・・俺はそんなの欲しくねぇなぁ。自由に暮らしたい・・・。」
「慶次らしいわね。」
ねねは笑った。
もちろん、ねね、天下よりお前が欲しいよ。
気づいてるんだろ?でも、お前は秀吉がいいよな。
「俺・・・秀吉が天下取ったらどうしようかな。」
「どうするって?」
「だって秀吉と仲いいのに、他の・・・謙信とかと仲良くするのはちょっと・・・あれだろ?」
「馬鹿ねぇ、慶次。」
ねねは呆れた風に言った。
「秀吉さんが、慶次が他の人と仲良くするの許さないわけないでしょ?」
「そっかな・・・。」
「そうよ。」
「そっか。」
京都の街は騒がしい。
あっちこっちで太鼓の音だの笛の音だの聞こえる。
「・・・京ってほんとにいいよな。落ち着く・・・。」
「そうね・・・。」
もう・・・限界だな。
「あら?慶次、どこ行くの?」
「もう帰るよ。そろそろ帰んないと、まつ姉ちゃんに叱られる。」
「そう・・・じゃぁね、慶次。」
「うん。じゃぁまた今度。」
帰り道、夢吉の頭に雫が落ちた。
「キ?」
「なんでもないよ、夢吉。」
俺の目から落ちる雫は止まらない。こんな顔、ねねに見せられない。
「キ?キ?」
「お幸せに・・・。」
そうつぶやくのが精一杯だった。