二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 戦国BASARA短編集「気紛れカオス」 イベント中! ( No.527 )
日時: 2014/04/13 22:33
名前: 明星陽炎 (ID: w/AVokpv)

※お題提供は根緖様の【※お題、あります。】より
※いつぞやのネタ、姐さんinZeroで鯖嗣といっしょ


「行け」
黒い髪を揺らして、不敵な笑みを浮かべる彼女の姿。僕の目指した姿とはかけ離れている。
けれどなんだか妙に憧れてしまうのはきっと彼女がそういう存在だから、なんだろう。
「はいはい、マスター」
豪放磊落、唯我独尊。そのくせ慈愛に満ちてお人好しで。
ほっとけないんだから困ってしまう。

「仰せの通りに」

だから僕は従うのだ。
まあ、どうでもいいことなんだけれど。


【   きみをしんじて「 」   】


「はーいマスター起きてねー」
「黙れジジイ寝かせろ無精髭ジャンクフードに抱かれて溺死しろ」
「残念だけど精神的にはともかく肉体は現在の僕より若いし、髭は剃ったし、今の僕は和食派です」
「やだー布団から出すなーさむいー」
「きみ本当こういう時だけ年齢相応だよね。で、大河ちゃん来てるけど」
「よし起きた。虎は今何してる」
「リビングで朝ごはん食べてるけど。マスターの」
「たあああああいいいいいいがああああああ!!」
ああ平和。『この頃の僕』の陣営とはかけ離れた日常。でもこういうのはいいよなあ。
リビングから聞こえた悲鳴と怒声に苦笑、そっと避難してお茶を啜る。
どうせ僕とマスターしかいないのに三人前は作ってるんだから大人しく食べればいいのに。
こういうところは僕のマスターも大概子供である。

「キリツグ」

振り返ればいつの間にかいつもの制服姿。寝巻きも普段着も着流しで、それ以外は制服。
折角なんだからたまには違う服を着たらいいのに、なんて。それはともかく。
「どうしたのマスター、今日は休日じゃなかった?」
「学校には行かん。出かけるぞ」
「はいはい」
最近着始めたタートルネックのセーターの上にコートを羽織り、重い腰を上げる。
————さあて。

敵状視察も兼ねてあちこちを歩く。魔力の痕跡などを掻き集め、少ない情報をなんとか整理していく。
「……そうして見てると、きみが軍師だって話もなんとなく信憑性が増すよね」
ぽつり。呟いたら腹部に衝撃。
「パスもわざわざ繋いで記憶を見せてやったのはいつだったかな?」
「じ、冗談デス…」
いつも思うんだけど、きみ多分言峰とサシで張り合えるよね…?そう言ったら更に追撃が来たのはまあ、蛇足かな。

「キリツグ」
「なあに?」
「私はお前を信頼はしていない」
「その心は?」
「胸に手を当てて、『現在』と向き合いな」
「うんまあ黒歴史ですよね」

痛いなあその言葉。まあ仕方ない。そりゃあ僕の自業自得だ。
だから甘んじて受ける。
それに、さ。僕は知ってる。パスを通じて伝わる感情を。

「だがな、その実力に信用は置いている」
だから、そう言葉を切って彼女は前を見据えた。
「生き延びるぞ」
「…勿論」

((きみをしんじて「る」))