二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 英雄伝説 空・零・碧の軌跡 無限に続く軌跡へ ( No.21 )
- 日時: 2012/02/04 22:57
- 名前: 作者くしゃくしゃ ◆HOZN/8Uj3A (ID: te9LMWl4)
第14話 狂ったお茶会
王都グランセル西街区
「また砲撃の音が」
数分前から王都の港に爆発音や戦車が砲撃した音が一定の間隔をあけながら鳴り響く。セシラルはその音の元へ必死に走るが道が複雑すぎて辿りつけない。それでも音の元へと向おうとする彼はある1本道に出た。彼はその道を走った。前を向きながら
不安と疑問に満ちた彼自身の頭は今にも破裂しそうだが、彼にとってはそんな事はどうでもいい。走り続ける彼の目に人影が映った。よく見ると人影の正体はエステル、それだけではない。他に十数人いた。しかし数人が膝を地に付け残った者は全員横になって倒れている。膝を付いていたのはエステル、シェラザードと神父らしき男、女王の親衛隊の服をきた女性。そして1台の大型の戦車が配置してある
「うふふ、導力停止現象を起こせなくても所詮貴方達の力ではこの《オルグイユ》には勝てませんわ。さあ道を開けなさい」
聞こえてきたその声にはスピーカらしき言葉にしにくい音と小音のノイズが混じっている。恐らくこの声はあの戦車の中から発しているのだろう
苦しそうな表情をしたエステル達、気を失った十数人の人間、大型の戦車、さっきの言葉、この状況で分かる事はエステル達とあの戦車は戦闘をしていて戦車が優勢だという事
気ずいたらセシラルは動いていた。考えるよりも先にスワローを持って戦車の方へ走っていく
「セシラル、何でここに、その武器は」
セシラルの存在に気付いたエステルは彼の名を呼ぶが振り向く事は無い
「我が化身よ、命を吹き込むと引き換えにその身体を力へと変えよ」
走りながらそう叫んだセシラルは戦車の後ろに回り込み、飛び付くようにスワローで斬りつけた。普通に斬ったように見えるが斬りつけ空に浮く彼の着地地点にはもう一人の彼が居る。彼が斬りつけた瞬間にもう一人の彼が戦車を斬りつける。彼がもう一人現れ同じように斬りつける。しかしこの場合セシラルは3人居るはずなのに2人しかいない。そう消えたのだ、3人目が出た瞬間に。さらにもう一人の彼が現れると2人目のセシラルは消える。このようにその場には同じ人物が二人存在し、片方が斬りつけるともう一人が現れ斬りつけた方が消える。それを何回も行う事でだんだん速くなっていき、最後には目では追いつけない程になる
「化身鳳凰斬」この技の名前はある男の技の一部を貰った物だ
上記の通り攻撃のスピードが速くなっていき、戦車の装甲を剥がしていく
セシラルが斬りつけるのを止めると残った分身は消滅する。凄まじいスピードで斬りつけられてのだろう、戦車の装甲はボロボロに剥がれ落ち煙を挙げた
「く、何ですの一体。でもまだ、ユリア、遊撃士ども。邪魔が入ったがこれで最後よ。いざ尋常に勝負しなさい」
戦車から顔を出した女とその部下は数カ月まえにクーデーター事件を起こした元王国軍情報部だった
「戦車まで使っておいてムシがいい気がするけど・・でもセシラルが来てくれたおかげで体力も回復したしさっきみたいにやられはしないわよ」
「町中まで砲撃の音が聞こえてきたので気になって駆けつけたのですがまさか戦闘になっていたとは思いませんでした。皆さん大丈夫ですか」
「大丈夫や。でもまさかこんな可愛い子に助けられたなんて信じられないな」
「セシラルと言ったか、助太刀感謝する。さあ無駄話は後でだ。決着を付けるぞカノーネ」
親衛隊の女性がそう言うとすぐに戦闘に入った。でもそれは戦闘と呼べるものでは無かった。セシラルが出した数人の分身が一瞬にして情報部全員を戦闘不能にして消える
「お前は一体・・何者だ」
追いつめられた隊長らしき女性がそう言うがセシラルは答えなかった
「アンタ、もしかして」少しおかしな喋り方をする神父は目を細めセシラルを見るが気付かないふりをしながら話しを反らす
「お、終わったのか?」
「公爵さん」
太い声の持ち主は女王の弟デュナン公爵の物だった
この状況を考えればこんな偉い人が戦車に乗っている理由は簡単に思いつく
「今回ばかりはお前たちに礼を言わなければならんな」
公爵は噂だとろくでなしとか呼ばれているが少なくともセシラルにはその様には感じられない
「あっ、レンは。公爵さん、レンは無事なの?」
「レン」
レン、セシラルはその言葉に異常な反応をした
「そのレンとはなんだ」
「女の子よ、白いドレスを着た」
エステルは公爵にしつこくレンと言う少女に聞くが知らないと言う言葉しか返ってこない
「白いドレスを着た少女・・まさか」
何か知っている。エステルはそう思ったのだろうか
「セシラル何か知ってるの」
と聞き返した
「・・情報部の隊長さん。導力停止現象を発生させる《ゴスペル》を貴方に渡したのは白いドレスを着た少女ですか?」
「そうですわよ」
セシラルの言った事は当たった。でもエステルには信じられなかった
「そんな筈無いじゃない。ギルドにはアンタ達が連れさらったって言う起き手紙があったのよ、この期に及んですっとぼけるんじゃないわよ」
「ギルドから連れさらった?」
「そうよ証拠があんのよ」
「そ・・・そう言う事だったのね」
意外な反応にエステルは驚く
「うふふ、あはは」
「カノーネ一体どうした」
親衛隊のユリアがそう聞き返す
「これが笑えずに居られるものですか、閣下の為に数々の陰謀を成し遂げて来たこの私が、あの娘ごときに利用されるなんて」
小娘、セシラルとカノーネの言う事が本当ならばその少女は・・
「そんな所に居ないで出て来てください。《殲滅天使》レン」
セシラルは近くにある倉庫の屋根を見た。そこには月の光を背に向け輝く少女が立っている
「こんばんわ。セシラルはお久しぶりね」
「レン何やってるの危ないじゃない。待ってて今そっち行くから」
この状況をまだ理解できていないエステルはレンに気を使う
「その必要はないわ、だってここが一番いい席だから。お茶会を開いた主人として当然の権利だと思わない?」
「レ回りくどい説明をしないでまず執行者としてやるべき事をしたらどうです」
セシラルは冷静な態度で話を進める
「何年たっても真面目ね裏切り者さん。それとも最強の狩猟兵さんの方がいいかしら?まあいいわ。それじゃあ、執行者NO.ⅩⅤ《殲滅天使》レン。ちょっと品が無い呼び名だからあんまりこの名で呼ばないでね」
執行者、ウロボロスと言う組織の幹部にあたる存在。能力があれば子供だろうと何だろうとなれる
「じゃあそろそろ帰ろっと。来て《パテル=マテル》」
巨人が大地を歩くかのように地面が揺れる音がする。その音は次第に大きくなりレンの元へとやってくる。やってきた巨大機械人形はは巨人そのものだった
「なあ!」
驚くのは当たり前だ。いくら全てのエネルギーの代わりが務まる導力でも高さ二十メートルほどもある機器など動かせる筈がない
「目標を発見」
音に釣られるかのようにシードたちもやってくる
「みんなピッタリに来た。もっと話したい事があるけど今日はここまで。では御機嫌よう」
レンがそう言うと巨人はレンを手に乗せ空を飛んでどこかへ去って行った