二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 英雄伝説 空・零・碧の軌跡 無限に続く軌跡へ ( No.25 )
- 日時: 2012/02/08 23:09
- 名前: 作者くしゃくしゃ ◆HOZN/8Uj3A (ID: te9LMWl4)
回想 蛇の使徒
七耀暦1191年
「寒い。身体が冷たい。怖い。苦しい」
旧ノーザンブリア大公国公都ハリアスクの中心にそびえる大きな長い物体「塩の杭」を見つめる一人の少女が居た。
彼女は数日前からそこに居る。何も食べずに、何も考えずに。
それから数日
少女はまだそこに居続けた。
「ノーザンブリア・・・ここもあの時と変わらないな。ん、あの子は」
たまたまそこを通り掛かったある男は少女を発見した。しかし男が少女を見つけた時にはすでに呼吸が浅く今にも命が尽来そうな状態だった。だがそれに気付いた男は少女を見捨てはしなかった。男は少女を背負うと、アルテリア法国へと向かって行った。
アルテリア法国と呼ばれる場所へたどり着いた男は少女を必死に介抱し少女の命を救った。
「・・・・・こ・・こは・・ど・・こ」
一命を取り留めた少女が目を覚ます。男は少女に気付くとパンを皿に乗せ少女に差し出した。
少女はパンをかじると急に泣き出した。
それからまた数日
「君の名前は?」
男が優しげにそう少女に尋ねる。しかし少女は口を紡いだまま何も言わない。男はもう一度同じ質問をしたが帰って来たのは「分からない」という答えであった。
「分からないのか。自己紹介が遅れたね。私はゲオルグ。ゲオルグ・ワイスマンだ。」
「ゲ・オ・ル・グ?」
「そう。ゲオルグと呼んでくれ」
二人はすぐに仲良くなった。
その後少女はゲオルグに引き取られゲオルグが彼女の保護者になり名前を付けられた。セシラル・ワイスマン。これが彼女の新しい名前だ。
それから何年かが経った。
セシラルはゲオルグに連れられ、赤い鎧をまとった男たちの船に乗せられ、そのままどこか分からない場所へと連れて行かれた。
「セシラル。選んでくれないか?」
ゲオルグがしんみりとした態度で尋ねる。
「何?お父さん」
「このまま私の事を忘れて安全に暮らすか、危険だけれども一緒に暮らすか」
共に暮らす。セシラルは迷う事無くそう答えた。
その決断がセシラルの運命を大きく変える事など彼女自身まったく考えては無かっただろう。
その後、セシラルは蛇の隠れ家で様々な人たちに出会い、強くなり、やがて狩猟兵になった。でも人生が大きく変わるのはこれからなのだ。
少女が狩猟兵として戦っていくのに一つだけ問題があった。それは今の性別。彼女の性別は周りの人間とは違い力も背丈も低くなるようになって居たため、蛇の使徒たちは彼女の性別を反転させ肉体を限りなく強化したのだ。それによって彼女、いや彼は周りとは比較にならないくらい強くなり最強の狩猟兵と呼ばれるようになった。
ヨシュア・ブライトが居なくなってから1年程が経った。
セシラルは今の自分が嫌になった。理由は人を傷つける事が嫌になったなど色々あるが何よりゲオルグ、彼の父の性格の変化が最大の理由だった。彼は戦闘機での脱走を企て、実行した。しかし戦闘機は破壊され墜落した。でも彼は奇跡的に生きていた。だが身体へのダメージが多く、少し歩いた所で倒れこんでしまった。
でも、これが新しい人生の始まりだった。