二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 英雄伝説 空・零・碧の軌跡 無限に続く軌跡へ ( No.3 )
- 日時: 2011/11/20 00:08
- 名前: 作者くしゃくしゃ ◆HOZN/8Uj3A (ID: /ReVjAdg)
2話 峠を土を昇って
王都グランセル、リベールの首都であり外国からの観光も日々絶えない場所。悪く言えば今セシラルが居るボーズ市から一番遠い市でもある。
そんな遠い所に、定期船を使用して何時間も掛かるような所に、D級と言う高いのか低いのか分らない中途半端な階級の遊撃士が徒歩で行くなんて、どれだけ時間がかかるのか?・・・そんなのカシウス・ブライトか、クーデター事件に貢献した2人の遊撃士ぐらいしか知らない。
しかも最も近いロレント市経由したルートは、道中にあるヴェルテ橋はクーデター事件による市民の混乱で通行許可が降りず、逆のルーアン市を経由した長いルートを通る事になった。
「ハッ・・・さっきまで私は誰と話してたのでしょうか?、独り言?唯の愚痴?何かの説明?」
「おかしい・・・やっぱりおかしい」
最近のクローネ峠の様子がいつもとは違かった。
所々の草木は枯れ、魔獣が出る気配もない。手配魔獣が出るとも聞いていたがどこにも居ない。何かが起こるのか?そう思わない方がおかしい。
「王都から帰ってくるまでには何も起こらないでほしいですね。魔獣がボーズを襲撃したなんて事があったらリベール中が大変な事になりますからね」
軽い冗談を言うと、セシラルは周りの変化があった所を確認しながら再び歩き始めた。
その後十数分、登りが急な坂を進むと魔獣らしい姿があった。
その魔獣の名は「ブレードファング」
名前の通り牙が剣のように鋭い大型の狼であり、あまりにも凶暴過ぎたので手配魔獣として扱われるようになった。
普段は人を見かけると襲いかかる好戦的な性格だが今はのは近づいても襲ってこない。
気付いてないのか?そう感じたセシラルは棒を構え、堂々とブレードファングの正面に立った。それでも反応は無い。それどころか眼は遠くを見てるかのような細目で、口は固く閉じ、手足は硬直している。ブレードファングの体を触ってみるととても冷たい。まるで何か凄い物を見てしまい恐怖で何も出来ないような姿だった。「死んでる」。何を根拠にそう思ったのかは分らないが、一瞬そう感じた。とにかく下手にいじるのは危ないと判断し、先へと進んだ。
ルーアン地方への入口となる関所に着いたセシラルは、通行許可を貰い、休む間もなく恐怖に駆られながらルーアン市を目指した。
「今日合った事が人が起こしたものならその人を許しません。魔獣も生き物だ。町に害を及ぼすならともかくあんな殺し方は酷です。」
泣きそうになった顔を上げると夕陽と隣合わせに見えた風車があった。
「いつの間にか村の中に居たんだ・・・この光景を見ると嫌な事が忘れられるな。」
マノリア村、小屋の上に巨大な風車が取りついてる事で有名になり、王都の用に観光客も多い村。
「今日はここの宿に泊まろう」
笑顔を取り戻した少年は宿に向かった。
今日があれば明日もある。
同様に嫌な事があれば良い事もある。その逆もある。
今日の用に、明日も明後日も同じ事がある。
嫌な事は良い事の鍵である。誰かがそう言っていたのを思い出した。