ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

「……という訳なんだ」
　アフロディは話を終えると、テーブルの上の麦茶をぐいっと飲んだ。手には包帯が巻かれている。
「ああ、なんとなく話はわかった」
「リボーン、本当にわかったのかよ？　アフロディが身の上を話してる間中、ずっといびき掻きながら鼻ちょうちんまでぶらさげてたぞ」
「わかってるぞ。アフロディがドーピングを使ったけど試合に負けて、途方に暮れていたところをツナとぶつかったんだろ」
「なんだ。わかってんじゃんか……」
「なんでアフロディは、ドーピングなんて使ったんだ？　そんなことをして手に入れた勝利には、何の意味も価値もないぞ」
「……何も知らない人は、そう言うさ……。僕は……負けちゃいけなかったんだ……。僕は絶対に勝たなくちゃいけなかったんだよ！！！」
「俺に話してみろ、アフロディ」
　リボーンは拳銃に弾を詰めながら言う。
　三人は今二階のツナの部屋にいる。
　長く重い沈黙の後、アフロディは話を始めた。
「僕は、在日韓国人だ」
　ツナもリボーンも、驚く様子は見せない。
「世間の目が恐かった。何か得意なものがあれば、強さを誇示できるものがあれば、普通の生活ができる。父さんがそう考えて、僕にサッカーを教えてくれたんだ」
「ナメられねえように、ドーピング使ってでも強くなろうとしたわけだな」
　リボーンの言葉に、「そう」とアフロディは呟くようにこぼす。
「父さんが病気で死んで僕と母さんが困ってるとき、影山という人が声をかけてくれた。父がいないときの僕が求めていたのは、ひたすら強さと金で、影山が提示してきたのも強さと金だった」
　影山という男は中学サッカーの乗っ取りをたくらんでおり、アフロディは最強の中学生チーム「世宇子」として育てられた。
　しかし全国大会で世宇子が雷門中に負け、同時に影山の違法なドーピングや悪事が発覚し、アフロディの稼ぎ口がなくなったため、途方に暮れていたのだと彼は言う。
「母さんに迷惑をかけれない……僕なんかいないほうが、いいんだ……」　

「本当に死にたい、そう思ってるのか？」
「ああ……。僕がいるせいで、母さんはいつも働いている。いっそ、僕はもう……」
「じゃあ、死ね」
　かちゃっとリボーンは小さな拳銃をアフロディに向ける。
　一階の玄関から、チャイムが鳴る音が聞こえた。
　獄寺達のようだった。ばたばたと二階を駆けあがり、波のようにツナの部屋に入ってきた。
「十代目ー！！　獄寺隼人、参上したッス！」
「おっすツナ！　久しぶりだな！」
「獄寺くん！　それに山本、久しぶりー！　え？　後ろのその人達は一体……」
「俺、基山ヒロト。よろしく！」
「……佐久間次郎……」
「源田という者だ」
「単刀直入に言うぜぇ？　俺、不動明王ってんだけどさぁ、あんたサッカーやる気ある？」
「な、なんだこの人達……（本当になんだこの人達……」
「十代目……。話せば長いッス」
「わりぃな、ツナ。いつものことだろ？　ってか、ツナ、その人誰だ？」
「ああ。この人は亜風炉照美君。ちょっとさっき色々あってさ」
「そっか！　よろしくな！　ところでさ、不動がツナに話があるっつぅんだけど、ちょっと聞いてやってくれよ」
「不動君？　う、うわぁ、俺の苦手な不良タイプの人だぁ……（こえぇー」
「そう怖がるなよ……。で、サッカーやんの？　やんないの？　才能があればプロだって夢じゃねえぜ」
「ぷ、プロ？　俺が？　無理無理無理無理！　ぜってー無理だって！　俺、体育１だぜ？」
「はぁ？　おい山本、話がちげぇぞ」
「普段はこんな感じなんだけどな。いざってなるとツナはすげーぜ！」
「こんなもやしみてーな奴がねぇ……」
「おい不動！　十代目はボンゴレを継ぐんだよ！　サッカーなんてやんねっつの！　そうッスよね？　十代目！　マフィアの十代目になるんすよね！？」
「え、ええ……！？　べ、別にそういう訳じゃないけど……。なんか成り行きでこうなっちゃってるだけっていうかなんというか……」
「ツナ。お前が決めることだぞ。どうすんだ」
「り、リボーンまで……！　あああ！　なんていうかな、俺は大切な人を守りたいから戦ってるんであってその、なんていうかさぁ！」
「臨時ニュースです！」
　たまたま点けてあったテレビの中で、ニュースキャスターは目を泳がせながら息を荒くして言う。そこに居合わせた者全員が、黙ってテレビの方を見る。
「エイリア星から来たエイリア学園と名乗る謎の集団が、全国の中学校を破壊して回っています！　目的は全くわからず、サッカーで試合し、負ければ校舎を破壊するという超次元的な宇宙人が日本に上陸しました！　全国優勝した雷門中も試合に負けて校舎を破壊されており、またネットで最近噂になっていた財前総理大臣が行方不明という疑惑についての調査が————」