二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン×REBORN! 十年後の世界で ( No.69 )
- 日時: 2012/01/15 15:50
- 名前: しろお (ID: xnzmqlIT)
屋上が開いてるなんて不用心な学校だな、と思いつつ僕は思いっきり腕を伸ばしてくつろぐ。
がっ、と何かにつまずいたときにはもう世界は僕の視界の上へと猛スピードで移動し、転んだ。だが痛くなかった。僕の下に誰かいた。
「く、く、苦しい……!」
「ご、ごめん!」
ここで寝ていたのだろう。気付かずに僕はつまづいて覆い被さるような形で乗っかってしまった。
鋭い目つき、赤シャツに紫の短ランとボンタン。転校早々、昭和のヤンキーみたいな格好した奴とこんなことになってしまった。こんな調子でこれから先やっていけるのだろうか。
「ったく、誰だてめーは」
ぎろっと僕をにらみつける目は鋭角。特徴的なその髪型は逆毛の髪ポニーテールという、トランプのジョーカーをどことなく思わせる。
「す、すいません。今日ここに転校してきた沢田照美って言います! あの、まさかこんなところに人がいるなんて思って無くて、す、すみません!」
「よくみればお前、どっかで見たことあるな」
昭和ヤンキーはじろじろと僕の顔を見てくる。
「木戸川清修との試合の時、お前を見た覚えがあるな」
「いや、私は君と会ったことないと思うなーあはは、あはは」
精一杯の高い声と笑顔でごまかそうとするが、疑り深い性格なのだろう、まだじろじろと見てくる。
木戸川清修との試合の時って今言ったけど、こいつこの成りでどこかの部活に入ってるのか。雷門も落ちぶれたものだな。
「ま、誰でもかまわねぇ。俺の眠りを妨げる奴は、なんぴとたりとも許さねえ」
「こんなところで寝ている君が悪い」
「ハッ! 何言ってやがる」
「屋上はみんなのものだよ」
「違うね。ここは俺のお気に入りポイントだ」
昭和ヤンキーは真顔でそんなことを言う。
お気に入りポイントって。なんだか可笑しくて、ぷっと笑ってしまった。彼は、何で僕が笑っているのか知らないので、自分が笑われていると思ったのか恥ずかしげに顔を赤らめた。
「な、なんで笑ってんだ!」
「あっはは……! ご、ごめんごめん! お気に入りポイントっていうのが、なんだか可笑しくて……」
「そんなことかよ! ったく、何が可笑しいんだか」
「ね、私もここをお気に入りポイントって呼んでいいかな?」
「ふん、勝手にしろ」
「じゃあ今度から私、たまにここを逃げ場所にしていい?」
「はぁ? 目障りだから、さっさと俺の目の前から消えろ」
「やった!」
「なんで喜んでるんだよ! 許可した訳じゃねえ! 消えろっつってんだ」
「だって、面倒なんだよね。私ももっと君みたいに、自由に生きたいんだ」
僕の言葉のどこかに共感できる部分があるのか、僕を見るヤンキーくんの目が少し優しくなった気がした。
「お前も、独りが好きなのか?」
全然好きじゃないけど、このまま行けばなんとか乗り切れそうだからとりあえず話を合わせておくしかない。
「実は、そうなんだよね。……うん」
目の前のヤンキーくんが明らかに僕に同情しているようで、なんだか嘘をついていることを申し訳なく感じてきた。
「そうか。勝手にしろ」
「本当? じゃあ、よかったら、名前を教えてよ!」
「名前……。名前は、剣城京介だ」
「剣城かぁ。珍しい名前だね」
「亜風炉の方が珍しいと思うけどな」
「覚えてくれてたんだ! 剣城、見かけはけっこう怖い人だけど、本当はいい人なんだね!」
「ばっ、馬鹿やろ! い、言っておくが、別に、お気に入りポイント教えたのだって、お前に同情したからとかそういう訳じゃないからな!」
「えー。そんなこと言って。じゃあ、なんで許してくれたの?」
僕の問いに、剣城は横を向いて頬をぽりぽりと掻き、「ちょっとそういう気分になっただけだ」と呟くように言った。
危うく僕も気を許しそうになったけど、こいつがミルフィオーレの関係者じゃないかどうかはわからない。根はいい人みたいだけど……。
明日からは本格的に捜査を始めよう。