二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン×REBORN! 十年後の世界で ( No.84 )
日時: 2012/01/17 19:52
名前: しろお (ID: .gKiIgoe)


「ここまでくれば、平気だといいが……」
 ああ、懐かしいな。初めてツナに会ったときも、こういうシチュエーションだったな。デジャヴ、か。
 この場所には見覚えがある。並盛山の川辺だ。以前、イーピンと一緒にここに来たことがある。
「実は拙者、ある組織に狙われてまして」
「知ってるよ。ミルフィオーレでしょ」
「な、なんで知ってるんですか!?」
「さっきは僕、嘘ついたんだ。こんな格好してるけど実は男。僕もボンゴレの関係者で、素性を隠すために女装してるんだ」
「そうだったんですか! 本当に女性のようですよ! まったく気付きませんでした」
「ありがとう。話を戻すけど、僕の前に、ツナが十年バズーカをくらっていたんだ。この時代の山本や獄寺と色々連絡を取ろうとしてみたんだけど、全然ダメでさ。で、実はもう一つ不思議なことが起きている」
「もしかして十年前から来ちゃったんですか?」
「え!? なんで知ってるの!?」
「実は拙者もなんです」
「じゃあ君も、十年バズーカに?」
「いえ、拙者は何の前触れも無くです。えっと、あなたは……」
「亜風炉照美。アフロディでいいよ」
「アフロディ殿ですね。じゃあ、拙者もバジルと呼んでください。みんなそう呼びますから。アフロディ殿、あなたは十年バズーカでここに来たと言いましたが、十年バズーカの効果は本来、五分しか持続しません」
「五分? でも僕はもう、この世界に一ヶ月くらいはいるよ」
「そのことなんですが、この助太刀の書に、十年後の拙者がこの世界のことを記してくれていました。拙者はスペインで目を覚ましたのですが、アフロディ殿同様、チェデフとは連絡が取れないばかりか、謎の集団に毎日襲われる始末。しかし助太刀の書にリングと匣兵器の使い方も記してあったの、今日までなんとか生きてこれた訳です」
「リングと匣兵器ってまさか、これのこと?」
「アフロディ殿もお持ちでしたか。そうです。指輪に覚悟の炎を灯した状態で鍵のように匣にはめると、中から兵器がでてきます」
「ちょっ、ちょっと待って。色々質問したいことが多すぎて……」
「はい、話すべきことはたくさんあるのですが、そ、その前に、実は拙者三日ほど何も食べていないのですが、何か食べ物を持ってないでしょうか?」
「食べ物は、何も」
「そうですか、僕は腹ごしらえが住んだらボンゴレのアジトに向かうつもりです。そこなら食料も豊富でしょうし、助太刀の書によると沢田殿や山本殿、笹川殿に獄寺殿もアジトに潜伏しているようです。アフロディ殿も、一緒に来ますか? というかきっとアジトの方が地上より安全ですよ。詳しい話も話せますし」
「ツナ達がいるの!?」
「はい」
「そっか、よかった。生きてたんだ……ん? もしかして山本や獄寺の連絡が取れないのは、その二人も十年後の自分と入れ替わっちゃったからってこと!?」
「はい。おそらく。電波が時間を超えることはないですから、普通は音信不通になると思いますよ」
 バジルはにこっと笑う。だじゃれを言ったことに関してつっこむつもりは無いけど、外国の人がだじゃれを言うとなんだかかわいいな。日本のおっさんが言うとそれこそシーンとなるけど。
「でも生きているなら、それで安心したよ。本当に」
「では、アフロディ殿も一緒に!」
「いや、僕はやめとくよ」
「何故ですか!?」
「だって、僕なんかがアジトに行っても足手まといになるのは目に見えてる。それに……」
「それに?」
「僕の母さんを殺したミルフィオーレのやつを、僕の手で今すぐ殺してやりたいんだ」
「アフロディ殿の母様は、ボンゴレ狩りの被害者なのですか?」
「うん。そうみたいなんだ。十年後の僕がボンゴレと関わっていたせいでね。十年後の山本は、僕の母さんを守りきれなかったらしい」
「お気持ちお察します。ですが、山本殿とて同じ。助太刀の書によれば、彼の父親である山本剛殿もボンゴレ狩りによって命を落としています」
 そうだったのか。あの山本が、そこまで手も足も出ないほど、ミルフィオーレは強大なのか。
「沢田殿達は今、ミルフィオーレと戦っています」
「じゃあ、忙しい訳だ」
「アフロディ殿、そのリングと匣はどこで?」
「これは、十年後の僕が所持していたんだ」
「十年後のアフロディ殿が所持していたのであれば、今のアフロディ殿でもそれを使える可能性は大いにあるはずです。沢田殿達は、今は少しでもミルフィオーレに対抗する戦力が欲しいはず。アフロディ殿も、アジトに行くべきかと」
「……やっぱり僕は、まだ行かない」
「そんなに、復讐がしたいのですか?」
「そう。でも復讐が理由じゃない」
「では、何故……?」
「僕がここに来たのにはきっと理由があるはず。僕はそう思うんだ。きっと復讐なんだよ。僕のすべきことは。きっと僕が木戸川の監督になったのだって、全てはミルフィオーレの奴を抹殺するためだったんだ。そうだ……もしかしたら僕が倒れていたあの場所に、僕が残したメモがあるかも……」
「……なるほど。それを済ませてからでもかまいません。しかし、くれぐれもミルフィオーレには気を付けてください。アフロディ殿が亡くなられたら、きっとみんな悲しむでしょうし、士気も下がります」
「わかった。約束する、やるべきことを片づけたら、必ずアジトに向かうよ。でも、僕と会ったことは、ツナ達には秘密にしておいて」
「はい、わかりました。しかし必ず約束は守ってくださいね」
「わかってる。これを持っておいてくれ。僕のアドレスだ。都合の良いときでいいから、連絡をしてほしい」
「了解。では、必ず、また」と言ってバジルは短く頷き、魚を捕りに川辺へ歩いていった。 
「またね」
 僕はその場を後にし、一度家へ帰った。