二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン×REBORN! 十年後の世界で ( No.90 )
日時: 2012/01/21 00:36
名前: しろお (ID: fW1SagZy)

次の日。
 朝、何やら外が騒がしいので起きて部屋を出てみると、木野さんが「どうしようどうしよう」と呟きながら廊下を行き来していた。
「おはようございます、どうしたんですか?」
「あぁ! アフロディくん! これ、天馬が……!」
 木野さんが僕に見せたのは、「しばらく離れます。探さないでください」と書かれた紙。
「天馬の部屋にあったのよ! これ、家出よね!? ああ、どうしよう」
 木野さんは、ひどく混乱しているようだ。
 取り乱しているところに追い打ちをかけるようで申し訳無かったが、僕は昨日の出来事を話してみた。
「天馬がそんなことを!?」
「彼は僕が男だと知りませんから、やろうとしていたことはおそらく、そういうことになると思います」
「なんてこと……! ああ、もう何がなんだか……!」
「まずは、警察に話してみるべきだと思います。僕は僕で、やりたいことがあるので。朝ご飯を食べたら出かけようと思っています」
「そ、そうね。まずは警察に連絡よね。でも、家出だって、何か訳があるのかもしれないし……」
「知り合いの家とかに泊まってるのかもしれないし、電話とかかけてみるのもいいんじゃないですか」 
「あっ、そうだね! 知ってる限りの番号に……」
「ところで電車賃がほしいんです。そろそろ、過去に戻るヒントを見つけられそうなんです」
「えっと、どこに行くの?」
「木戸川清修です」
 朝ご飯を済まし、歯を磨いて着替え、電車に乗って木戸川へ向かった。
 木戸川駅というのがあったのでそこで降り、現地の人に場所を聞いて木戸川清修中に向かった。
 道が分からなくなって少し迷っていたので、通りがかった人に道を訪ねてみた。
「あの、木戸川清修中はどこかな?」
 声をかけられた少年がこちらを向く。見たことがある顔だ。
「あっ、アフロディ監督じゃないですか! 貴志部ですよ、俺!」
「貴志部……ああ、木戸川清修の!」
「なんだか、最初会った時もこういうシチュエーションでしたよね。前は監督の背、高かったですけど……」
「いや、僕が君と初めて会ったのは木戸川の部室だったと記憶してるけど」
「まあ、今のアフロディ監督とは、あの時が会うの初めてでしたね。どうしたんですか?」
「いや、それがさ。僕の私物を取りに来たんだ」
「監督の、ですか。あっ、もしかしてこのノートですか?」
「ノート? ちょっと見せてくれ」
 貴志部がバッグからノートを取り出し、僕はそれをひったくるように勢いよく取る。
「これは……」
 戦術ノートだろうか。
「アフロディ監督がいつも持ってたものです。主に戦術や作戦について細かく書いてありました。俺、それを読んで、サッカーの勉強してたんです! サッカー部のみんなにもこれを読ませたりしてました! トライアングルノートて呼んでます!」
「トライアングルノート……なかなか、かっこいい名前だね」
「部室にあるアフロディ監督の私物は、多分それだけですよ」
 僕はノートをぱらぱらとめくってみる。最後のページに、地図のようなものが書いてあった。並盛町の地形に似ている。赤く塗りつぶされた地点には小さく、「アジト」と書かれている。ここがアジトへの入り口、ということなのだろうか。 
「貴志部君、僕がどこに住んでたとか知らない?」
「わかりますよ! 俺、前に監督を尾けたことがあって」
 ストーカーだよそれと言いたかったが、とにかく今は貴志部に頼るしかない。
 そんなこんなで案内してもらった。
「もうそろそろ着きますよ」
 通りには、人だかりが出来ていた。消防車も何台か来ている。ぼや騒ぎだろうか。
「あれ、あの燃えてるの……監督のマンションだった気が……。も、燃えてます! 燃えてますよ!」
「本当かい?」
「あの炎と煙が出てる部屋、たしか監督の部屋ですよ! いつも望遠鏡で観察してたからわかるんです!」
 貴志部の目にめらめらと燃える炎が映っている。望遠鏡で観察してたっていうところがちょっと気になるけど、僕の家が燃えているのは本当らしい。十年後の僕の家が、燃えている。
 僕は不思議と落ち着いている。誰がやったか、もうわかっているからだ。
「ミルフィオーレ、か」
「ミル……え? って、どうするんですか監督! 家、燃えてますよ!」
「まあ、放火だろうね」
「放火!? ゆ、ゆ、許せないです! 監督の家に火をつけるなんて……! 何か恨みでもあるんでしょうか。それともやっぱり、いたずらとか、腹いせとか、なんとなくとか、そんなしょうもない理由なんですかね。と、とにかく警察に……」
 これだけ人だかりができているのだから、他の人がすでに呼んでいるだろう。焦って早口になる貴志部。おそらく、十年後の僕を尾行していた貴志部を尾行していたんだろうな、ミルフィオーレは。
「いや、いいよ。今は僕の家じゃないし。大事なものは僕はいつも身につけておく性格なんだ。それに、いつまでもここにいるのは危険なんだ。人混みが一番、ね。ちょっと駅まで案内してくれ。貴志部」
「えっ、え、ああ。まっかせておいてください!」