二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【GUMI】ようこそっっ!スイートフロートアパート【裏マン】 ( No.22 )
- 日時: 2012/01/24 18:59
- 名前: 騎演男 ◆13u2kgcys2 (ID: vECQrl8y)
八階 かわいそうな乙姫様ととてもじゃないが務まらない彦星さま
キノコを食べていた時だった。どごっ、ぼごっ、と殴る音が聞こえた。
そして、しばらくたって、また、殴る音。
ああ、どうせ、内山の組織の野郎だろうな。
——え?
あれ、まて。
茱萸はかぶりをふった。それはもう、激しすぎるくらいに。あの事件の後、私が調べたデータがあっているのならば——いや、100%あっていると思う——その組織は、内山は殴られない。なぜなら、
「キャアア!」
え?
「こ、これわ」
女性の悲鳴だ!考えるのをやめ、茱萸はとある部屋へ急いだ。
そこには、一人の女性がいた。いかにもか弱いお姫様といったイメージ。周りにお花が飛んでいそうな人である。
しかし、ただ、いるだけではない。倒れているのだ。顔面にはあざというあざがあり、口元からはちがでて、意識を保つのがやっとな状態である。フローリングにはビールやら馬券やらが散乱していた。
103号室の日常。
「ぐ……ぐ……み……茱萸さん……。」
か弱い声。驚きはしない。だって、いつものこと。
でも、
「ぐえ……うえっ……う……私……。」
「も、森川さん!」
その女性の名を呼んだ。
必死でその女性を起こす。苦しそうに嘔吐した口からは、ちだけじゃなく、すべてが出てしまっている。
「また……また?」
「いえ……別に。あの人の幸せこそが……私の……ごふっ……」
「何言ってんの!」
向こうのドアが開いた——瞬間に茱萸は森川にハンカチを押し付けて、そちらに走って、そして
——パン!
開いたドアから出てきたやつの頬を張った。
やつの頬は、叩いていないほうもほてっていた。また、酔っぱらっているのだろう。
呆然とした彼に、茱萸は叫んだ。
「米男!また、なんでやってんのよ!」
しばし、呆然とした米男は茱萸を見据えた。しかし、目はぐらんぐらんと回っている。全く威力のないその目に、内心あきれながら、茱萸は更に言った。
「もうやんないって、言ったばっかりじゃない!家庭裁判所に訴えるわよ!」
「……訴えるだぁ?」
米男は、ようやく場を理解したようだ。
「そうよ!前みたいに、話し合いで和解じゃすまないんだっつの!」
ウィスキーのボトルが、床に転がった。
「え」
森川を手でかばいながらも、茱萸は思わず後ずさり。
「暴力は嫌いですから……お願いします……話し合ってくだ……さいませんか。」
「わ、わかってる。」
な、何よと、米男を睨みつけた。
「何かぁ、いいたぁいことでもぉ?」
米男はかなり酔っぱらっているようだ、ろれつが回ってない。顔は、真っ赤。噴火寸前。つったく、どんだけ飲んだんだ。
「米男!あんたっ!夫なら妻に優しくするのが普通でしょう!妻が倒れてるのに!」
「はああ?知らねえよ!」
茱萸は、森川のほうに向きなおって、ピースサイン。
「私、どうにかするからね!」
「ぐ、茱萸さん、そんな余裕は……うえ。」
「まだ気分悪いなら、向こうの部屋に行っててね。危ないですから!」
「上です!」
え——
上?
わかった時には、もうすでに遅かった。
振り下ろされる米男のこぶし。
狙いはどこか。
そう、茱萸の頭上。
彼は酔っぱらったから噴火寸前なんじゃない。
キレてるんだ。