二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【GUMI】ようこそっっ!スイートフロートアパート【裏マン】 ( No.23 )
- 日時: 2012/02/14 18:06
- 名前: 騎演男 ◆13u2kgcys2 (ID: HQL6T6.Y)
九階 ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああって悲鳴が聞こえたからちょっとびっくりしたけどそんなにすごいことでもなかったらしい
——パシッ——
……
茱萸は息を止めた。なんとか、受け止められたようだ。米男はこちらをものすごい形相で見ているが、睨み返す余裕はない。
おれちゃう……
頭の上はまぬがれたが、茱萸の腕は耐久性ではない、受け止めたものの、折れてしまいそうなほど痛い。
「離しなさ——え!」
横切る風。顔を引くのが一瞬でも遅かったら、茱萸の顔はぐっちゃぐっちゃでぐちゃぐちゃのぐちゃぐちゃになっていたにちがいない。米男の拳はなかなかだ。
……というか……茱萸は全くの素人。
もし、たとえばの話だが、米男が、いや、たとえばだが、たとえばの話だが、もし、もし、もし、もしも、じゅうどうやらてこんどーやらましてやからてやらをばっちり習得していたとしたら?
「やばっ……」
口からもれた言葉より先に、振り下ろされる米男の手。
うまいことよけていく茱萸。
……それにしても酒臭い。いったい何杯飲んだんだろう?
「みちあさんに謝りなさい!」
よけながら、叫ぶ。
「嫁に謝れなんとぉ……他人のおまえに……いわれる筋合いなどぉお、ないっっっ!」
米男はなおも殴ってくる。
どごっ、ぼごっ……。
何とかぎりぎりよけていくが、同時に後ずさっていった。
だんだん……
拙い、そう茱萸は思い始めた。後ろに、だんだん壁が迫っていたのだ。
確実に、少しずつだが、壁際に追い込まれてきている。
後ろを見つつ、みちあを気にしてやるが、そんな余裕もなくなってきた。
もしかして、米男、私を壁際に追い込むこと、計算してた……?
駄目だ、これじゃ、みちあを守ることはできない。米男を反省させることはできないわ……。
でもこんな風になるだなんて、知らなかったもの……いつもは話し合い(酒の飲みあい)でおわってた!
なのに、暴力だなんて、知らなかった。
そうだ、私は巻き込まれてるほうだ。
こんなに、頑張る必要なんて、ないのよ!
やめよう。もう、やられてしまえ。
私は一介の管理人だ。アパート経営者だ。
この名もなきアパートの、経営者。
だから——こんな、住民のことに首を突っ込む必要なんてあるか?自分はなんておせっかい。こんな努力、買われるか?
ない!
茱萸はふらふらと立ち上がった。みちあは、部屋の隅っこで茱萸を見ていた。それを一瞬見た後、茱萸は米男を見た。
笑顔だった。自分を責めるような。卑屈な、笑顔。もう何もかもあきらめたというような。
米男は拳を止めた。
茱萸は——
「さようなら、帰るわ、私。」
踵を返した。
「あとは、二人で何とかして。」
茱萸は振り返りもせず、ドアを開けた。