二次創作小説(映像)※倉庫ログ

original ダンガンロンパ 第一章 絶望のハジマリ ( No.14 )
日時: 2012/01/03 14:08
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

ピンポーン!!

「!?」


 突如、鳴らされたチャイム音におれは思わず腰を低くして身構える。
どうやら、今の音はドアの方からしたようだ。
しかも、チャイムは一度きりでなく間を開けて、二度、三度と鳴らされている。


(だれだ……?)


 声もなく、ひたすら鳴らされるチャイム音に、おれはドアを睨みつけた。だが、扉の向こうの相手がこちらに入ってくる気配はない。

 いつまでも立ち止まっている訳にいかず、おれは鍵を取り、警戒を緩めることなくドアに向かう。
それから、気晴らし程度の小さなドア穴を覗くとまだハッキリと分かった訳ではないが、下側に小さな人影が揺れていた。


「だれかいませんかー?」
(……子供?)

 幼子のような声におれは一瞬ためらうも、警戒を解かずにドアノブに手をかける。
それからゆっくり回して、物音も立てないように開いた。


「あ、やっぱりあなたなんだね」


 くりくりした青い目が狭いドアの隙間から現れる。
それはどう見ても、やはり小学生程の子供のものだった。


「大丈夫だよ。わたしは米倉 澪(よねくら みお)。あなたと同じ79期生だよ」
「米倉?」


 おれは聞き覚えのある名前に思考を巡らせる。
米倉 澪、確か世界中の音楽家たちを魅了する演奏を奏でる"超高校級のピアニスト"だ。
ソロに留まらず、合唱や楽器の伴奏も一流で、彼女が入ればその楽団の演奏会は大成功を収めるとさえいわれている。
だが、それがこんなに小さい子供とは……。
非常に失礼であるがおれは正直、驚いていた。


「"超高校級のピアニスト"の、米倉か?」
「え?わぁ、すごーいっ!大正解だよっ。よく知ってるね」


随分失礼な物言い、更にドア越しだというのに、彼女はにこにことこちらに微笑んでくる。

 どうやら、警戒する必要はなさそうだ。
おれは半分気を緩め一思いにドアを開ける。

 そこには空色の青い瞳にプラチナブロンドのウェーブがかった髪を宙になびかせた人形のような少女が、柔和な笑みを浮かべていた。


「失礼した。おれは速水刹那という者だ。好きに呼んでくれ」
「えーと……それじゃあ、刹那くんでいいかな?」
「ああ、かまわない。おれはなんと呼べばいい?」
「わたしも好きに呼んでいいよ〜」
「では、米倉と呼ばせてもらう。いいか?」
「うん」


 随分と同年代の人間と話さなかったせいか、どうしても挨拶が堅苦しい。それでも、米倉は微笑みを絶やさずに答えてくれた。


「体調は大丈夫?」
「ああ。問題ない」
「そっか。よかった。あなただけいなかったから、心配してたんだよ」
「おれだけ?」
「そう。もう他のみんなは集まっているから、一階の玄関ロビーに行こ う?」
「……分かった」


 他のみな、つまりここに今日、入学する連中が揃っているという。
おれは心の底から感じる嫌な予感を覚えながらも、米倉の案内に従って玄関ロビーへと向かっていった。