二次創作小説(映像)※倉庫ログ

original ダンガンロンパ 第一章絶望のハジマリ ( No.15 )
日時: 2012/01/07 17:56
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

(見られているな……)


 米倉について廊下を歩きながら嫌な気配を感じて振り返る。自室では確認していなかったが、この廊下には数箇所にわたって監視カメラが配置されていた。
それに付随して、小型テレビも見受けられる。


(犯人の意図はなんだ……?)


 道幅も広く、カーペットが一面に敷いてある廊下はホテルを思わせるものだが、変わった蛍光灯によって全体的に蛍光色に照らされている。
以前、極秘の任務で裏組織に潜入したこともあるが、それでもここまで悪趣味な廊下は見たことがない。


「辰美ちゃん」


 ふと、米倉の足が止まる。
先を見ると、ちょうど下り階段の前に手を挙げている一つの人影が見えた。
 ラフにYシャツとズボンを着こなした茶色のショートヘアの、女だろう。胸の辺りにそれらしい膨らみがあるのが分かる。


「おお、澪。そいつが最後の一人か?」
「うん。速水刹那くんっていうんだって」
「へぇー。かっこいい名前だなぁ」


 彼女は赤いフレームの眼鏡をかけ直すと、おれの顔をまじまじと見た。


「ありがとう。君は?」
「おれかい?おれは笹川 辰美(ささかわ たつみ)。超高校級のゲーマーってやつだ。まぁ、好きに呼んでくれ」


 笹川 辰美。どの分野のゲームも世界大会で連勝。そして数々の新記録を打ち出し、誰よりも早く裏技を見つける“超高校級のゲーマー”。
 女性だとは事前に分かっていたが、彼女の態度や口癖はどうも男性を思わせる。だが、悪い気はしない。


「では笹川で。おれも好きに呼んでくれてかまわない」
「お堅いやつだな。落とすには時間のかかりそうなタイプってやつ?」
「落とす?」
「ああ。なんでもねーよ。じゃ、おれは刹那って呼ばせてもらうぜ。さてと、他の連中はもう待ちくたびれてんじゃねぇかな?早く行くぞ」


 笹川は背を向けると、おれたちを急かすように足早に階段を下りていった。


「辰美ちゃんはね、口は男の子みたいだけどすっごく優しいの。怖がっていたわたしに最初に話しかけてくれた子なの」
「そうか。怖がっていた、とは?」
「実は……あ、でもまずは下にいってから話すね。みんな待ってるから」
「そうだったな。すまない」
「ううん、いいよ。じゃあ行こう、刹那くん」


 米倉に続いておれも階段を下りる。
 階段を下りた先を真っ直ぐ進むと、そこにはおれたちを含めて15名の生徒が集まっていた。
やはりある分野の天才級の人間が揃っているせいか、オーラを感じる、と言ったら言い過ぎだろうか。


「お?お前が最後のやつか」
「ああ。おれは速水刹那。好きに呼んでくれてかまわない」


 敢えて警察であることは伏せ、とりあえず名乗りをあげる。すると、他の生徒たちは一斉にざわめき始めた。


「速水刹那だな?初日から遅刻とはどういうことだっ!!もうみんなとっくに集まっていたんだぞ!!」
「おいおい。そう言いなさんな。こんな状況だろ?」
「すまない。どうも……気を失ってな。気がついたら自室と思われるところに倒れていた」
「なんだと?お前もなのか?」
「お前も?」
「実はさー、わたしたちもなんだよね。その、気絶して部屋にいたのって」


 全員だと?
 おれはなにか引っかかるものを感じて、今の状況を整理する。ここに今日入学するはずの全員がいるということは、やはり誘拐か何かに巻き込まれたと考えた方がしっくりはくるが……。


「ねぇ、みんな自己紹介してくれないかな?わたしと辰美ちゃんはしたんだけど、刹那くんはみんなのことは知らないから」
「面倒くせぇな」
「でも、彼がだれと話してるか分からない、っていうのも困るわよ」
「そう……ですね」
「では、改めて自己紹介していきましょう。私たちも確認も兼ねて」
「りょーかい」


 14名全員の視線がおれに集中する。既に彼らの準備はできているようだ。