二次創作小説(映像)※倉庫ログ

original ダンガンロンパ 第一章絶望のハジマリ ( No.16 )
日時: 2012/01/07 18:00
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

 まずは手前にいるやつから話していくことにしよう。
おれは最初に震えている袴姿に黒髪のお下げの女に話しかけた。

「あ、あの、初め……ましてわたし……えと……その……」
「?」
「お、怒ってます?」
「……怒っていない」


 不本意ながら怖い顔と言われ慣れてはいるが、さすがに初対面でここまで怯えられるとおれも傷つく。


「す、すみません。あの……わたし、東雲 菊(しののめ きく)っていいます。超高校級の大和撫子って言われて……ます」


 東雲 菊。大和撫子といえば、言葉だけの意味では日本女性の理想とされる意味だが、彼女の場合、茶道、日本舞踊、生け花、カルタ取り、鞠付きといった大方の日本の伝統を極めた女性、だったな。
しかし……。


「そんなに怖がらなくても、おれは何もしない」
「は、はい……すみません」


やはり、おれが怖いらしく彼女は今だにしっかりと視線を合わせようとはしない。
 どうにも、いじめているようなので、おれはそれ以上何も言わず、ため息を一つだけ吐いて別の生徒に向かっていった。


 次におれはブカブカの白衣着た、栗色のパーマを散らした中性的な生徒に話しかけた。


「僕は間宮式(まみやしき)。数学者だよ」


 間宮 式。抜群の集中力と発想力で数々の難題を打ち破った数学オリンピックの優勝者で、数学者たちも一目置く“超高校級の数学者”だったな。


「ところで、君はどんな数式が好き?」
「数式?」
「そう。友愛数とかルートとかがベタだけど、僕は円の数式が好きだな。綺麗にまとまるもの。sinとcosってほんと、すばらしいよね。数字といえばやっぱり零の概念は重要でしょ?あれが確立されたからこそ、数学は大きく発展したんだ。現代の機器はまさにこの恩恵をたまわっているよね」


 語り始めると止まらないのか、間宮の言葉はどんどん熱がこもっていく。さすがに、長くなりそうなのでおれは断りを入れてから次の生徒に向かった。


 今度の生徒は、カウボーイハットと茜色の髪と同色の顎髭が特徴的な男だ。


「よっ。オレは御剣 隼人(みつるぎはやと)。ここでは超高校級のホストで通ってるぜ」


御剣 隼人。口説きのテクニックと、親しみやすさから多くの女性客に指名をもらう“超高校級のホスト”。彼に会うために、はるばる遠方から訪れる女性も多いらしい。


「お前酒はイケる口か?」
「どういう意味だ?」


 ここは日本だ。
二十歳未満の飲酒は禁止されているはず。


「おや、ここの連中は堅物だなぁ。さっきのやつもえらい手厳しいやつだったし。ま、飲む酒もないんだけどな」
「はぁ……」


 そっちの世界についてはよく知らないが、あまり関わらない方がいいのかもしれない。
おれはそう思いつつ、彼から背を向けた。

 すると、腰まで届きそうな深紅の髪をなびかせた、プロポーションのいい女性と目が合った。


「あら、こんにちは。私はアヤメ・ローゼンよ。“超高校級の俳優”と言われているわ」


アヤメ・ローゼン。ハリウッド映画で一躍デビューし、以降、数々の名作でその演技力を発揮している“超高校級の俳優”だったな。


「よろしく頼む。アヤメ、と呼べばいいのか?」
「ええ。お好きにどうぞ。私は速水と呼ばせてもらうわ」
「ああ。それにしても光栄だな。“サイタニック”で見たことがあるが、迫真に迫る演技だった」
「あら?あなた、映画はよく見る人なの?」
「いや。連れに映画好きのやつがいてな。あんたのことをよく誉めていたよ」
「そうなの。嬉しいわ。次回作はわたしが主役のものだから二人で是非観てちょうだい」
「ああ」


 姿勢、喋り方、まるで隙がない。
さすがに一際厳しい芸能界に身を置く人間だけはある。