二次創作小説(映像)※倉庫ログ

original ダンガンロンパ 第一章 ( No.17 )
日時: 2012/01/07 18:02
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

「それじゃあ、他の子にも挨拶してらっしゃい」
「そうさせてもらう」


 これで後は8名。
おれは奥の方にいるやつらに向き直ると、まずは浴衣姿の坊主頭の男に話しかけた。


「おれは花月 京(かげつ きょう)!”超高校級の歌舞伎者”さ!」


花月 京。幼少期から女形めがた役者として出演し、多くの人々の心を掴んだ“超高校級の歌舞伎者”だ。
現在は子供と女の役を専門にしていると聞いている。


「速水刹那だ。よろしく頼む」
「おうよっ!刹那って呼ばせてもらうぜ!にしても、いいよなー、その身長」
「身長?」
「そうそう。だって身長さえ高けりゃ女もんなんてやらなくて済むだろ?」
「なるほど……。歌舞伎は、男性しかできないからな。男性が女性の役をする必要があるのか」
「お!分かってんじゃん!!とまー、そんなわけでよろしくっ!!」
「ああ」


 歌舞伎者と聞いて古風な男児を想像していたが、元気で明るいやつだ。

 笑顔をふりまく彼におれは手を挙げて答えてから、次に黒髪を上で一つにくくった、気の強そうな女性に話しかけた。


「私は篠田 眞弓(しのだ まゆみ)だ。よろしく頼む」


篠田 眞弓。有名な弓道場の跡取りで、幼い頃から弓道に励んでいる”超高校級の弓道者“だったな。
彼女が小学生のとき、流鏑馬に選ばれて真ん中に的中させた話はおれも記憶にある。


「篠田、と呼んでかまわないか?」
「ああ、別に……かまわないぞ。わたしも速水と呼ばせてもらうからな」
「ああ。…………」
「…………」


 お互い、相手を見ながら無言が続く。
どうやら、彼女とは似た者同士ということらしい。


「……失礼する」


彼女はそう言って頭を下げると道を開けるように、離れていった。



 おれは次に、白いシェフの格好をした水色の髪の男に話しかけた。


「僕は石蕗 優(つわぶき まさる)。料理人です」


 石蕗 優。一流のグルメたちの舌を唸らせ、彼のいるレストランは連日行列ができる程の”超高校級の料理人“だ。特に創作料理が得意で、石蕗優のオリジナルランチがそのレストランの一番人気メニューらしい。


「速水刹那だ。よろしく頼む。石蕗でいいか?」
「はい。速水さんと呼ばせてもらっていいですか?」
「ああ、かまわない」
「よかった。何か食べたい物があれば言ってください。といっても、こんな状況でそんなことを言うのもどうかと思いますが……」
「いや、気にしていない。むしろ楽しみにしている」
「はい」


 笑顔で頷いた石蕗を背に、おれは次に亜麻色の髪を巻いたきらびやかなドレスの女に話しかけた。


わたくしは北条 花梨(ほうじょう かりん)。自分でこういうのもなんですが、”超高校級のお嬢様“ですわ」


北条 花梨。何人もの使用人がつき、固有財産で島一つさえ持っている宝石業者の大富豪である北条家の一人娘から”超高校級のお嬢様“と言われている女性だ。


「速水刹那だ。よろしく頼む。北条と呼んでいいだろうか?」
「ええ。かまいませんわ。代わりに私も速水様と呼ばせていただきますわよ。ところで速水様」
「なにか?」
「私の下で働く気はありませんか?」
「……言っている意味がよく分からないが」
「そのままです。ちょうど動きの早そうな腕っ節の強い男が必要だと思いまして」
「悪いが、おれは遠慮させていただく」
「そうですか、残念ですわ」


 微かだが、ちっ、と舌打ちの音が聞こえた気がする。