二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- original ダンガンロンパ 第一章 ( No.18 )
- 日時: 2012/01/06 18:34
- 名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)
どうも、一筋縄ではいかない女のようだ。
おれはそんなことを思いながら、次にこの中で一番大きい男に話しかけた。
「おいは……大山 力也(おおやま りきや)。”超高校級の力士“だ」
大山 力也。最年少で相撲界に入り、その初陣で優勝候補をつっぱり一撃で倒した”超高校級の力士“。
話によると、彼は気さくで、相撲ファンの間では彼との会話を楽しみにしている者も多いと聞くが……。
「速水で……いいか?」
「かまわない。おれも大山と呼ばせてもらっていいか?」
「ああ……。おいは、喋る、苦手だ」
「別に、おれは気にしていない」
「そう、か。……ありがとう」
「いや。これからよろしくな」
「よろしく、だ。速水」
なるほど。片言であるが、穏やかで優しそうだ。
おれは一人納得すると、大山の影に隠れて遊んでいた女性に話しかけた。
「あ、わたし、雅 歌音(みやび かのん)っていうの!よろしくね!!」
雅 歌音。オペラや独唱の舞台で活躍し、透き通った歌声をもつ”超高校級のソプラノ歌手“だ。
彼女の歌は動画に上げられていたので聴いてみたが、音楽に詳しくないおれでも、とても上手いのがよく分かる。
「速水刹那だ。よろしく頼む」
「じゃあ、せっちゃんねっ!」
「……せっちゃん?」
なんのことか一瞬分からず、おれは思わず聞き返す。
「せっちゃん、とはおれのことか?」
「うんっ!あ、わたしのことはなんでもいいからね。好きに呼んじゃっていいよ〜っ!ただまーくんみたいにマヌケとかそういうのはなしねっ!!」
「あ、ああ。まーくん、とは?」
「あっちの子」
雅はそう言って黒髪の白衣の男を指差す。
指された男はかなり、いや、相当機嫌が悪そうだ。
「ちっ……。おい、マヌケ。だれがその名前で呼んでいいっつった?ぶっ殺すぞ」
「あー!またマヌケって言った!」
「てめぇがふざけたことぬかすからだ、マヌケ。そして人の話はちゃんと聞け。耳が腐ってんのか?ああ?」
「ううー。せっちゃん、まーくんが怖いよー。行ってきてー」
「はぁ……」
確かに、彼の言葉は随分と乱暴だろう。しかし、それに油を注ぐ雅も問題だと思うのだが……。
おれは、おれの後ろに隠れている雅を一度覗き、仕方なく彼のもとに向かった。
「ちっ。おい、一発しか言わないからよく聞けよ。俺様は不動 正治(ふどう まさはる)。“超高校級の医者”だ」
不動 正治?
おれは一瞬耳を疑った。
彼はどんな病気でも治す“超高校級の医者”と聞いている。
まさか、その医者がこんなやつだとは……。
「速水刹那だ。よろしく頼む」
何を話せばいいか分からず、とりあえず手を差し出してみる。しかし、彼はおれにただ鋭い視線を返しただけだった。
「俺様は消毒液に浸した無菌の綺麗な手以外に触れるのが嫌いなんだ。どっか行け」
「はあ……」
奇妙なことを述べるやつだと思いつつ、おれはすぐ隣で渋い表情をした短髪の男に向き直る。おそらくこいつで最後のはずだ。
「僕で最後だな。初めまして。僕は安積 闘真(あづみ とうま)。“超高校級のボクサー”と呼ばれている」
安積 闘真。中学生頃に始めたボクシングで才能が開花し、アマチュアから今やライト級のプロボクサーとしてオリンピックの出場を期待されている“超高校級のボクサー”だったな。
「速水刹那だ。よろしく頼む」
「ああ。速水刹那、僕のことは好きに呼んでくれてかまわない」
「では、安積、と呼ばせてもらう」
「了解した。……」
安積は一度おれを見ると、手を差し出してきた。
握手のつもりだろう。おれはその手をとって応えた。
「ふふ。遅刻はしたが、君はなかなか骨のありそうな男だな。こちらこそよろしく頼むよ」
「ああ」
安積闘真か……。
どうにも初めて会った気がしない、不思議なやつだ。
(これで全員だな)
おれは安積と堅く結んだ手を離し、改めて同期の生徒たちの顔を見回す。やはり、超高校級の者たちとだけあって皆、どこか特徴的だ。
それは向こうからすれば、おれにも当てはまるのだろうが。