二次創作小説(映像)※倉庫ログ

original ダンガンロンパ 第一章 ( No.23 )
日時: 2012/01/07 21:28
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

『ピンポンパンポーン…』
「あー、あー…!マイクテスッ、マイクテスッ!校内放送、校内放送…!」
「!?」


 おれは突如鳴ったチャイムに周囲を見回した。
どうやらこの声はシャッターの閉まった受付の窓口上部にあるスピーカーから出ているらしい。

 だが、それは場違いな程、脳天気で明るい声……。
例えば、事故現場で鳴り響く笑い声のように、思わず眉をしかめたくなるような不快感、といえばいいだろうか。

とにかく、おれはその声に強烈な不快感を抱いていた。


「大丈夫?聞こえてるよね?えーっ、ではでは……。えー、新入生の皆さん。今から、入寮式を執り行いたいと思いますので、至急小ホールまでお集まりくださ〜い。って事で、ヨロシク!」


ぷつりと音声が切れ、静寂が訪れる。
見ると、そこにいるだれもが困惑した面立ちだった。


「小ホール?っていうか、なんだ?今のって…?」
「入寮式、と言っていたが……」


 花月と篠田がそう呟いたところで、ガタンとおれたちの右手側の扉が重々しく開く。扉の右にある立て札を見ると、それには確かに『小ホール』と書かれていた。


「奥が……見えない」
「本当、真っ暗だね〜」


 扉付近にいた大山と間宮が興味深そうに扉の先を眺める。
本当に真っ暗だ。何があるのか、まるで予測できない。
もしかしたら、何か罠があるかもしれない。


「はっ。俺様は先に行くぞ」
「おいおい、そりゃ危なくねぇか!?」
「だったら一生そこで突っ立ってろ」
「でも、一人は危ないよ〜っ!まーくん待ってーっ!」
「だれが待つか。そしてマヌケ、てめぇは一回死ねッ!!」
「雅!まったく仕方ないやつだな」


 不動のあらぶった声に引き続いて雅が行き、篠田がその後に続く。
にしても、まるで懲りてないな、雅は。


「入寮式?入寮式って言ったよな?」
「辰美ちゃん、どうしたの?」
「だっておれたちは希望ヶ峰学園に来てただろ?普通は入学式って言うんじゃないか?」
「確かに、そうですよね」
「なんだ。ってことはドッキリかよ。ビビって損したぜ。よし、行くか!」
「あ……。京くん、わたしも……行きます」
「僕もいこーっと」
「では、私も先に失礼しますわ」



 ぞろぞろと暗闇に入り込んでいく面々を横目に、おれはしばしその場を動けずにいた。
本当ならFBIであるおれが最初に動くべきなのだが、どうにも頭に浮かんだ“嫌な予感”が頭から離れなかった。

そう考えていたのは、おれだけでもなかったらしい。


「本当に、大丈夫なのかな…?」
「今の校内放送にしたって、おかしいからな…」


 安積、大山、笹川、石蕗、御剣、米倉、アヤメ、そしておれがその場には残っていた。


「でも、ここに残っていたとしても、仕方ないわ。それに、あなたたちだって気になるでしょ?今、何が起こっているか」
「そう……だな」



 確かにそうだ。炎の中に自ら身を投じるような危険が待っていたとしても、手がかりのない今となっては、行くしかない。


「この中だな」


 先に入った者を追いかけるようにして、おれ達は歩きだした。
やはり、全員不安らしく、あの放送から沈黙を保っている。

 だが、無理もない。もちろん、おれも多少なりとも不安を感じるが、経験上ある程度は慣れている。ただ、こういう場合、彼らにどう声をかければいいか、それが分からなかった。