二次創作小説(映像)※倉庫ログ

original ダンガンロンパ 第一章 ( No.24 )
日時: 2012/01/07 21:31
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)


「それにしても、変だよな」
「何がだ?笹川辰美」
「だってよ。寮と言えば、79期生以外の連中もいるわけだろ?だれも見かけてないじゃないか」
「そうだな。それにあの鉄板は、まるでおれたちを閉じ込めるためのようだ」
「おいと……安積でやったが……壊れなかった」
「無理もないわ。鉄だもの」
「どうなっているんでしょうね。ドッキリでしょうか?」
「ドッキリにしちゃ、ちぃと手が込み過ぎじゃないか。やっぱり、ヤバいんじゃねぇの?」
「どちらにせよ、腹をくくるしかない。虎穴に入らずんば虎児を得ず、だ」
「うふふ……。もうとっくに入ってるけどね」


 アヤメの笑い声が辺りに反芻する。
既に真っ暗闇に突入したおれたちは、だれがどこにいるかも分からない。

 辛うじて、まだ出口の扉が開いているのが救いだ。
ここで閉じられでもしたら、何人かは混乱に陥るだろう。

「おい、来てやったぞ。とっとと明かりをつけやがれ」


 彼の声を合図に、天井の照明が一斉に点灯する。
そこで、おれたちを待ち受けていたのは…


「あれ?入学式だね、どう見ても…」


 米倉がホッとした表情を浮かべる。
赤い絨毯の敷かれた上には、ちょうど15人分のパイプイスが並んでいた。奥の舞台にはマイクの付いた教壇とその後ろに日の丸の旗と希望ヶ峰学園の校章が掲げられている。


「んー、これって“普通”の入学式と同じだね」


 ずいぶんと前にいた雅が真っ先にパイプイスに座り、きょろきょろと辺りを見回す。



「ほら、みんなも座りなよ」
「だな。ずっと立ちっぱだと疲れるし。菊もしんどいだろ?」
「あ……はい……」
「静かに。ここは式場なんだぞ。とりあえず、空いてる席からみんなつくんだ」
「お前さんは先生かよ」


 雑談を交えながら、各自で適当に座り、おれも後ろの席につく。
それから、おれはゆっくりと辺りを見回した。

 小ホールという割には体育館並の広さがあり、ザッと見ても縦30m、横は15mくらいありそうだ。

そして、今は上げられているが、奥の舞台は天幕付きの立派なもので、それだけでも希望ヶ峰学園の凄さを実感できる。


(やはりな……)


 おれは予想通りの光景にため息をついた。
左右を見渡すと、バスケット用のゴールの下に見える通気孔らしき場所にも、鉄板が打ち込んである。

 どうにも、この企画を練った人間は徹底しておれたちを外から隔離させていると思わせたいらしい。

思わせたい、だけならいいのだが。


「それにしても……おふざけにしては、ずいぶんと悪趣味ですわね」
「まったくな。とんだびっくりだぜ」


 花月がそう言って明るく笑い飛ばしたときだった。
おれたちが“普通じゃない”光景を目の当たりにする事となるのは…


「オーイ、全員集まった〜!?それじゃあ、そろそろ始めよっか!!」


 どこからともなく声が、先ほどの校内放送の時のものが聞こえたかと思うと、“ソレ”はいきなり現れた。
白と黒色のカラーリングが、縦で半分に分かれたクマ、か?


「え…?ヌイグルミ……ですか?」
「ヌイグルミじゃないよ!ボクはモノクマだよ!キミたちの、この学園の学園長なのだッ!!」
「学園長……?」


 ここまで何かに視線を奪われたのは、生まれて初めてだったかもしれない。だが、その対象が、あんな訳の分からない物体だったとは……思いもしなかったが。