二次創作小説(映像)※倉庫ログ

original ダンガンロンパ 第二章殺人ゲェム ( No.32 )
日時: 2012/01/10 14:38
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)


『誰かを殺した生徒だけがここから出られる…』


 おれはモノクマの言っていた言葉を飲み込む。
幸い、まだおれはそれを受け止めるだけの余裕はあった。

しかし、他のみなはその言葉に完全に思考が止まっているようだった。
あたりに漂った重い空気が、それを物語っている。


「しっかりしろ。おれたちがこのまま、こうして疑心暗鬼に睨み合っていては相手の思う壷だ」


 できるだけ声音を落とすように努めて、おれは全員に語りかけた。
 みなの顔が一斉におれの方に向く。
その表情はどれも怒り、不安や恐怖といったものに支配されていた。


「まずは出口を探そう。それに、ここがどこなのか調べるんだ。そうすれば、あいつの目をかい潜って逃げることができるかもしれない」


『逃げることができるかもしれない』

 その言葉に、希望を見出だしたのだろう。
みなの顔には光が戻っていた。


「……そう、だな。ありがとう、速水刹那。その可能性を忘れるところだった」
「ああ……。まだ、全部……決まってない、な」
「そうね。案外抜け道も用意されてるかもしれないし」
「具体的なことはどうお考えですか?」
「手分けしてここを調べるんだ。何があるか分からない。できるだけ、複数に分かれて探索しよう」
「それで犯人を見つけたら、即刻ボコボコだな!!」
「いや、相手が何を持っているか分からない。犯人とおぼしき人物がいても、一人で追いかけず、必ずだれかを呼んでくれ。いいな?」
「うん、分かった。えへへ、刹那君は頼りになるね」
「じゃあ、早速行きましょうか?」
「ちょっと待った。その前に、電子生徒手帳を確認しようぜ。モノクマの言ってた“校則”ってやつに従わなきゃ、首ちょんぱだろ?」
「首ちょんぱって……そんなえげつない言葉使いなさんな」
「だが、あいつならそうしかねないぞ。わたしたちに向かって殺し合え、なんて言ったくらいだからな」
「じゃ、その校則ってのを確認しよっかー」


 気の抜けた間宮の声に頷き、おれたちは手元にある電子生徒手帳を起動させる。

『速水 刹那』

 すると、最初におれの名前が浮かび上がった。
モノクマの言ったとおり、ここには持ち主本人の名前が表示されるらしい。


「えと……どうすれば、いい……ですか?」
「ん?菊は機械はダメか。じゃあ、教えてやんよ。みんな分かるか?右サイドの電源ボタンを入れて起動させたら、上から三番目の規則って書いてあるとこにタッチして開くんだぞ」
「えーと……こう?辰美ちゃん?」
「澪、それはみんなのプロフィール画面だろ。だからいったんメニュー画面に戻って……」
「さすが“超高校級のゲーマー”だな。もう使いこなせるのか」
「おれにはこれくらい朝飯前さ。さて、後分かんねーやつはいるか?」
「わ、悪い、笹川。わたしのも見てくれ」
「おいのも……頼む」
「了解。待ってろよ。見れるやつは先に見てていいんじゃないか?」
「言われなくとも、俺様はとっくに目を通している」
「私も、一足先に見ていますわ。非常に読んでいて気分が悪くなりますけど」


 まだ電子生徒手帳が上手く使えないやつは笹川に任せて、おれは表示されたメニュー画面の中から、“校則”と書かれたアイコンを選択する。

画面上に浮かび上がる箇条書きの文章。
これが“校則”だろう。
おれは確認を終えると文字をたどっていった。



1.生徒たちはこの寮内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。


2.夜10時から朝7時までを“夜時間”とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。


3.就寝は2階に設けられた個室でのみ可能になります。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。


4.寮内を調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。


5.学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラ・鍵のかかった扉の破壊を禁じます。


6.仲間の誰かを殺したクロは“卒業”となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。


7.なお、校則は順次増えていく場合があります。