二次創作小説(映像)※倉庫ログ

original ダンガンロンパ 第二章 ( No.33 )
日時: 2012/01/10 14:46
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)


 校則は以上、か。
おれは、画面から顔を上げた。
見ると、他のみなも渋い表情を浮かべている。


「これ、違反したらやっぱり殺されちゃう?」
「だったら破ったらどうだ?俺様も気になるところだ。供養は死んでもやらないがな」
「えー。せめて線香一本はあげてよ〜っ」
「突っ込むとこそこ!?」
「雅、絶対破るんじゃないぞ!そんなことで死ぬなんてわたしはごめんだからな」
「わわっ。まゆゆんごめんごめんっ。絶対破らないから、怒らないで」
「ちっ」
「おいおい、なんでそこで舌打ちするんだよ。可愛いレディが死ぬ姿なんて見たくないだろ?」
「こいつのどこが可愛いレディなんだ?うるさいだけのクソガキだろ?俺様は」
「それ以上は止めろ。きりがない」


 おれが不動と雅の間に入り、制止する。
すると、不動は腕を組んで呆れたように息をついた。
赤い蔑んだ彼の視線が向けられる。

おれは、別にそれでどうともしないが……まいったな、こいつは。


「あの、ちょっといいですか?校則の6番目の項目ですけど……これって、どういう意味なんでしょう?」
「後半の『他の生徒に知られてはならない』の部分よね?わたしも気になっていたの」
「……卒業したいなら、誰にも知られないように殺せ、という事ではありませんか?」


 確かに文面通りに受け取れば北条の言った意味だろう。
だが、これには他の意味も含まれている気がする。


「な、なんで……どうして……です?」
「そんな事、気にしても仕方ねぇよ。与えられたルールは守らないと命を落とす。それだけ気にしてりゃいい。あんな狂人の考えを理解するだけ時間の無駄さ、菊」


 笹川が東雲と一緒にルールを眺めながら、おれに視線を映す。


「……にしても、まさかお前が警察官だったとはな。正直、驚いたぜ」
「なっ!?」
「え?ちょっと待て!?どういう意味だ?」
「ああ。プロフィールにも大方目を通したんだが、そこにあったんだよ。速水刹那は“超高校級の警察官”ってな」


 笹川の言葉に全員が一斉に静まり返る。
その沈黙を破ったのは……一人の嘲笑だった。


「はははっ。警察官が捕まってるとは……とんだ喜劇だな?速水刹那っ!!」
「待って!刹那君だって知らない内に事件に巻き込まれたんだよ!仕方ないよっ!」
「仕方ない?仕方ないわけあるかっ!偉そうなこと抜かしやがって!事後じゃ何もかも遅いんだよ!!」
「っ」


 おれは何も言い返せず、声を荒げる不動を見る。
先ほどの件もあるのだろうが、おそらくは挑発の意図が大きいだろう。

 警察官であるおれが、犯人に捕まっている。
本来ならば、犯人を逮捕しなければならない立場で、これ以上の挑発はない。だが、ここで何かを言えば、彼に言い訳と指摘されるだけだ。

 これ以上、無駄に争うわけにはいかない。
そのため、おれは不動の好きなように言わせておいた。


「税金で養ってもらってるいいご身分が、ずいぶんなザマだなぁ?ああ?」
「…………」
「おい!何か言い返さないのか!?」
「…………」
「ちっ。だんまりかよ……。もういい、てめぇらのお遊びに付き合ってられるか」
「どこへ……行く?」
「出口を探すんだよ。一人でな」
「おいおい。そりゃ、危ないだろう」
「他人を殺すしか脳のない、馬鹿な連中と一緒に行動するよりマシだ。役立たずの警察の言うことなんか、聞けるか!」
「君というやつはっ!!」
「まーくん待って!一人で、怖くないの?」
「っ。怖い……?はっ。教えてやろうか?一番怖いものってやつを」


 既に背を向けて歩き始めた不動は白衣をひらめかせながら、おれたちを赤い瞳で睨みつけた。


「この世界で一番怖いものは………人間ひとだ」


そう言って、凄んだ視線を戻すと不動は一人、小ホールを出ていった。
どこか重みのある、その言葉を残して。