二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- original ダンガンロンパ 第二章 ( No.47 )
- 日時: 2012/04/10 23:06
- 名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)
「では、最後は僕たちだ!僕たちは二階の東側を調べてきた」
「二階に上がってすぐ右の廊下の奥の通路、北側にある三階へ続く道はシャッターで遮断されて通れそうになかった。スイッチも探したが、見当たらないところをみると、おそらくは犯人が上で操作をしているんだろう」
「ええと、つまり今は一階と二階しか行けない。ってことですか?」
「そうなるな。もしくはその先に脱出するための道もあるかもしれない」
「それでね、二階に上がってすぐにあるシャッターの手前には焼却炉があったよ。焼却炉は朝と夜の9時から10時までしかついていないみたいだから、その間にゴミは捨ててね」
「向かい側の部屋はランドリーだった。乾燥付きの洗濯機があって……既に干されていた洗濯物が何枚かぶら下がっていた」
「そうそう。だれか洗濯した人いる?」
「わたしはやってないわよ」
「私の服は特注ですから、洗濯なんてできませんわ」
「オレも。スーツだしな」
「……そもそも、この状況下で悠長に洗濯している輩がいるのか?いたとしたら、頭のネジが相当危ないんだろうなぁ……なぁ、マヌケ?」
「なんでわたし?」
「お前ほど呑気なやつはこの世にいない」
「えーと……誉め言葉?」
「けなされてるだろ。明らかに」
“悠長に洗濯”か。確かに、それが普通の反応だ。
いきなり、こんな不気味な場所に連れ込まれて、そんな余裕があるようには思えない。
だとすれば、あの洗濯物は犯人の物と考えた方が自然だろう。
おれは先程のランドリーの光景を引っ張り出した。
あそこに吊るされていたのはズボンやセーター、スカート……そして米倉の持っていた女物の下着。
つまり、犯人は女性、となる。
ただ、常識的に考えて、おれたち15名を連れ去ろうとすれば女手一人では不可能だ。おそらくは複数犯の可能性が高いだろう。
そう仮定すれば、洗濯機や焼却炉に使われた跡があることもなんら不思議ではない。
「こら。雑談はほどほどにしろ。ここからが重要なんだぞ!」
「重要……だと?」
「ああ。あと発見したものは三階に続く階段とトイレと……これだ」
おれは先程、男子トイレで見つけた見取り図をみなの前で広げてみせた。
「これは……?」
「“希望ヶ峰学園第79期生寮 見取り図”だ」
「見取り図?」
何人かは近寄り、もう何人かは遠くから見取り図をじっと眺める。
「少し変わっているが……ほとんど一緒だな」
「どういう……こと……ですか?」
「おれもよく分からない。ただ、これが“本物”であれば、間違いなく希望ヶ峰学園のものだろうな」
「いや、図はここ建物としてもだ。名前だけ変更したって可能性もあるんじゃないか?」
「ううん。希望ヶ峰学園のもので間違いないと思うよ〜」
疑わしい目つきの間を抜け、間宮は手の出ていない白衣の袖を振りながら、見取り図をおれの手から取り上げた。
「ほら。希望ヶ峰学園の特製印があるでしょ?これは、希望ヶ峰学園の所有物って証。よって、ここは希望ヶ峰学園っていう速水の仮説は証明されたわけだね〜」
「えぇ?でもさ、しぃちゃん。ここが希望ヶ峰学園なら、どうしてこんなことになってるの?」
「さぁ…?僕はここが希望ヶ峰学園が分かったくらいだし」
「ま、まさか……実際の希望ヶ峰学園は超高校級の連中を集めてこんなことさせるのか?」
「いや、それはない。僕の先輩で“石丸 清多夏”という方がおられるが、つい先日お会いしたときにここの学校生活を楽しんでいる、とおっしゃっていた」
「あ、その人聞いたことがあるよ。確か“超高校級の風紀委員”だったよね?」
「ああ、米倉 澪、その通りだ。とても尊敬できる、素晴らしい人だよ!」
「ははぁ……。無駄に暑苦しいやつだな、そいつ」
「なっ!?笹川辰美、なんて失礼なっ!石丸先輩は、僕たちの先輩だぞ!!」
「はっ。その尊敬できる先輩は俺様たちを助けに来るってのか……?」
「絶対来てくれる!先輩は質実剛健な方なんだ!!こんな事態を黙って見過ごす人じゃない!!」
石丸という先輩を本当に信頼しているらしく、安積の発言に一切迷いは感じられない。
「それに、よく考えてみるんだ。僕たちがいなくなったことで、少なくとも僕たちの家族は心配しているはずだ。警察だって動くに違いない」
「はっ。まぁ、一人はここにいるけどな?」
「……そうだな」
不動の嫌味を受け流し、おれはふと時計を見る。
時計の針は11時を指していた。あの悪夢のような入寮式からまだ2時間しか経っていない。
−「ジャン。万が一、お前の身になにかあればわたしから国際刑事警察機構に連絡を取る。気をつけろよ?」
−「分かりました。いってきます」
国際刑事警察機構。別名、インターポール。
現在の時刻では、時差の関係でまだ昨晩だろう。
長官、ようはおれの上司に当たる人はおれの身になにかあったとき、彼らと連携して捜査に乗り出すとおっしゃってくれた。
インターポールとあれば、いくら希望ヶ峰学園といえども捜査を拒否することはかなわないはず。
そうすれば、きっとすぐにここから出られるはずだ……。