二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: original ダンガンロンパ アンケート実施中 ( No.58 )
- 日時: 2012/02/26 10:43
- 名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)
「えへへ。あの二人、仲直りできたね」
「……あれは仲直り、か?」
一人嬉しそうに微笑む米倉に、篠田が怪訝そうに二人を見遣る。おそらく、今この場にいる米倉以外の全員は篠田の心境に近いだろう。
見る限り、全員が困惑した面立ちで彼らを見据えていた。
「まぁ…確かに、仲直りはできたみたいね。終わりよければ全てよし。そういうことにしましょ」
「ああ」
「そう…だな」
結局、きれいにまとめたアヤメの意見に頷き、元の作業に戻る。
元から料理に従事していなかったおれは、最初に米倉たちに頼まれた食器類を運ぶことにした。
ナイフとフォークが入った編みカゴをまず運んで、長テーブルに並べ、続いてグラスを引き取って同じように一人分ずつ並べていく。
「……そういえば」
相変わらず長テーブルでのんびりと過ごしている花月、北条、御剣の三人を傍目に、おれは首を傾げた。
「間宮はどうしたんだ?姿が見えないが」
「間宮?」
お茶をすすっていた花月が湯呑みから口を離し、ああ数学者のやつか、と頷いてみせる。
「あいつなら部屋に戻ったぜ。なんかひらめいた、って言ってノートにすごいスピードでなんか書いてたし」
「一人で帰ったのか?」
「いや、歌音ちゃんと眞弓ちゃんが部屋前までついていったらしい。うらやましいよなぁ。レディに送り迎えしてもらえるとは」
「じゃあ、今度はお前に迎えに行ってもらおうか?」
「のお!?辰美ちゃん、冗談を。悪いけどボクは野郎を迎える趣味はないんで」
「働かざる者食うべからずだぞっ、御剣隼人!」
「嫌なもんは嫌なんだよっ!!第一、犯人がいつ襲われるか分からないってとこに一人で行くとか、危ないだろうがっ!?」
「なら、おれも行こう」
グラスの配置も完了し、他にすることもない。
それに、御剣の言うことも一理ある。
犯人がどこに潜んでいるかも分からない状況で、一人で行動するのは危険だ。
そういう意味で、名乗り出たつもりだったのだが……かえって御剣の顔色は一層険しくなっていた。
「えー……また野郎と一緒かよ」
ワイングラスに入ったジュースを傾け、ちまちまと口をつけて飲みながらため息をつく。
どうやら、迎えに行くよりも俺と行くことが不満のようだ。
「どんだけ男嫌いなんだよ、お前」
「だって考えてもみろよ。半分は麗しのレディたちがいる中で、なぜか野郎としか組んでないんだぜ!?おかしくないかっ!!」
「どうしたの?」
テーブルを叩いて熱弁する御剣を余所に、何も知らない米倉がサラダの取り分け皿を両手に載せてやって来る。
そこで、御剣の態度は急な変化をみせた。
「やあ、澪ちゃん。ちょうど今、間宮を迎えに行こうと思ってたんだ。よかったら一緒にどうだい?」
不満そうに刻まれた眉のシワが消え、ニコニコと爽やかな笑みで語りかける。
おれが一緒に行こうと言ったときとは随分な差だ。
「なにいってるんだ君は!?速水刹那が一緒に行こうと言ったときは、とても嫌がっていたじゃないか」
「オレがいつ迎えに行くのが嫌だなんて言ったんだ?」
「屁理屈かよ。よく言うぜ」
「それはそれ、これはこれ。で、澪ちゃん。一緒に間宮クンを迎えに行かないか?」
「えーと……」
渋い表情の安積と笹川を軽く受け流し、御剣はどうしようか迷っている米倉にウインクを送る。
「今なら特別に超高校級のホストの一級の接待付きだぜ?」
「あら、そうですの。だったら、そのお相手は私にしてくださらない?ちょうど紅茶が飲み終わりまして。早くお代わりを注いで欲しいのですけど?」
特別な接待、という言葉に、北条は笑顔を浮かべるとスッと空のティーカップを御剣の前に突き出した。
「え…?ええと……その、ごめんよレディ。オレは今から間宮クンを迎えに行く義務が」
「あら、レディを待たせる気ですの?それが一流のホストだなんて、信じられませんわ。間宮様のお迎えは速水様と、米倉様を寄越せばよろしいのではなくて?」
「そ、そいつは…」
その場をやり過ごそうとする御剣に毒を含んだ言葉を浴びせながら、流れるような動作で扇子を広げる。
その姿はお嬢様と言うより、女王様と言った方がしっくりくるだろう。
会話の流れを完全に掌握した彼女は、優雅な微笑みを絶やさないまま、鋭い目線で御剣を睨みつけていた。御剣はというと、蛇に睨まれたカエルのように顔を強張らせ、押し黙っている。
「……わ、分かりましたよっ。お相手させていただきますって!」
「うふふふ……。それがいいですわ」
しかし、最終的に北条に逆らえないことを悟ったのか、彼はがっくりと両肩を落として承諾した。
ティーカップを丁寧に持ち上げ、急ぎ足で台所に走る。
その後ろ姿を見送りながら、ぼそりと花月が呟いた。
「やっぱ女ってこえぇー……」
「なにか言いまして?」
「いや、別にー」
「ええと…それじゃ、式くんを刹那くんと一緒に迎えにいけばいいんだよね?」
「そういうことだ。米倉澪」
「えへへ、また一緒で嬉しいなっ。それじゃあ、行こう刹那くんっ!」
「ああ」