二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: original ダンガンロンパ アンケート実施中 ( No.59 )
日時: 2012/02/26 15:54
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)

 米倉が一人一人の取り分け皿を並べ終わったのを見計らって、おれは彼女といっしょに食堂を後にした。
 やはり、食堂から延びる廊下にはおれたち以外、だれ一人として見当たらない。それに、食堂から出たせいか、蛍光色の光で照らされた廊下は一層不気味に感じられた。


「やっぱり、ここは怖いね…。照明が変なせいかな?」
「そうだろうな」
「そうだ。刹那くん、唐突だけどクイズを出してもいい?」
「クイズ?」
「そう。わたしに関するクイズだよ」


 急な話におれは口を結び、しばし返答の言葉を考える。
おそらく、米倉のことだから悪意はないのだろうが、なぜクイズに発想が至ったのかよく分からなかった。


「……別にかまわないが。どうして急に?」
「まだお互いのことあまり知らないから、クイズに出した方が楽しめるかなって。ほら、テレビでもよく盛り上がっているでしょ?」
「そう…なのか?」
「あれ?刹那くんはバラエティ番組とか、見ないの?」
「そうだな。ここ数年は見ていない。おれはずっとアメリカに暮らしていたし、仕事で忙しかったからな。あまり日本のテレビ番組は知らないんだ」
「へぇ〜っ!それじゃ、刹那くんって英語が得意なの?」
「ああ。現地にいても困ることはない」
「すご〜いっ!!でも、日本語もすごく上手だね?」
「父さんが日本人だからな」
「お父さんが日本人……。ということはお母さんは」
「アメリカ人だ」


 おれがそう告げると米倉は顔をパッと輝かせてみせた。


「ということは、刹那くんってハーフだったんだね!てっきり日本人だと思ってたよっ!」
「ああ。肌の色も黄色だし、日本の名前だからな。米倉はどうなんだ?」


 階段を上りながら、プラチナブロンドの髪に、青い瞳の彼女を映して尋ね返す。どう見ても、彼女も純粋な日本人ということはないはずだ。


「わたしの家族は日本人だけど、おじいちゃん一人だけイタリアの人なんだ!それじゃあ、唐突だけど、ここで問題っ。刹那くんがハーフならわたしはなんでしょう?」

 
 祖父が外国人で、それ以外の親族が日本人……。
つまり米倉は換算して四分の一の遺伝子を受け継いでいるわけだから……。


「”クオーター”、だな」
「正解!刹那くんには簡単だったかな?」
「そうだな。これくらいは一般常識だ」


米倉にそう返し、おれは前に視線を戻す。
それぞれの個室に繋がる廊下に出たらしく、左右に扉が一定間隔を開けて並んでいた。


「……ん?」
「どうしたの?」
「いや、これが少し気になってな……」


 立札みたいなものだろうか。
おれは間宮の部屋の前で腕を組み、さきほどまでなかったと思われる代物を眺めた。
 ローマ字で「MAMIYA SHIKI」と刻まれた名前の上に、白いプレートが取り付けられている。それには黒のドットで、縮れた長い髪で片目が隠れている男……間宮式と思われる顔が描かれていた。
 念のため、周囲を見回すと他の扉もローマ字で書かれた名前の上に同じようなプレートが各自かけられている。

 
「米倉、おれの部屋を訪ねに来たときこんなものはあったか?」
「ううん。なかったと思うよ。確か、名前だけじゃなかったかな?辰美ちゃんたちも言ってなかったし……」
「そういえば、そうだな」


 ここは花月、笹川、東雲の担当だったはずだ。
だが、彼らからこんなプレートがあったという報告は聞いていない。
敢えて報告することもなかったのか、それともおれたちが食堂にいる間に設置したのか。
戻った後、彼らに一度確認する必要がありそうだ。


「でも、この似顔絵ってとっても似ているよね。これなら、遠くから見てもすぐにだれのお部屋か分かるよ」
「ああ……確かに、分かりやすいな」


 わざわざドット絵を選別したことに、悪意を感じるといえば言い過ぎだろうか。米倉が間宮のプレートを誉めているのを横目に、おれは扉の横についたインターホンを押した。

ピンポーン、というチャイム音が外まで聞こえてくる。


「間宮、いるか?」


それから数秒を置いて、おれはできるだけ大きな声で尋ねた。
扉を何度かノックし、彼の返事を待つ。
しかし、数分が経過しても扉が動く様子はなかった。


「式くん、ご飯できたよーっ。早くしないと冷めちゃうよーっ!」


米倉が背伸びをしてインターホンを押し、何度か呼びかける。


「間宮、返事をしろ」
「なんで返事もないのかな……?いるはずなのに……」


米倉と一度顔を見合わせ、扉の前に向き直る。
既に数分は過ぎたはずなのに、一向に返事がない。