二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: original ダンガンロンパ アンケート実施中 ( No.60 )
- 日時: 2012/04/08 20:55
- 名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)
「もしかして……」
米倉の不安げな視線がおれに向けられる。
間宮が返事をしない理由。
その最悪の事態は嫌なほどすぐに思い至った。
—「だれかを殺したものだけがここから出られる」
頭に浮かんだモノクマの台詞を振り払い、おれは米倉に向き直る。
「…まだ、決めつけるのは早い」
単に間宮が気づいていない可能性だってあるはずだ。
自分にも言い聞かせるように米倉にそう告げてから、おれは扉から距離をとった。
内側から閉まっている以上、扉を開けるにはぶち破るしかない。
「刹那君、何をするの?」
「ドアを破る。離れてくれ」
「で、でも、規則では扉を壊したらいけないって。もし規則を破ったら刹那君が……!」
「大丈夫だ。開けるだけで壊しはしない。だから規則違反にならないはずだ」
でも、と米倉が言葉を濁す。
おれはその先を聞かなかった。
低く身体を構え、一直線に頑丈な扉へ突撃をかける。
「ちょーーっと待ったああーーー!!」
「な!?」
しかし、おれと扉の間に唐突に現れた白黒の物体、モノクマにそれは阻まれた。
規則の一つである校長への暴力を禁ずる、という一説を思い出し、なんとかやつの前で踏みとどまる。
それに、やつはやれやれと言わんばかりに息をついた。
「もぉ〜、困っちゃうなぁ、速水くん。扉を破ることが許されちゃったら、鍵をかけてる意味ないじゃーん!!頭使いなよ、も〜っ!!」
不満げに語尾をあげ、幼子のように腕を上下に振り回す。
それを間近で見下ろしながら、おれは頭痛を覚えた。
毎度のことながら思うが、こいつは一体どこから出てくるのかまるで予測できない。今のところの目撃情報をもとにすれば、小ホールと二階、食堂は出て来れるといったところか。
「だが、間宮の安否を確認するには扉開けないといけない。となれば、鍵のないおれたちにできるのはこれしかないだろう」
「ノンノン。分かってないな〜、速水くんは。こういうときこそボクを呼ぶんだよ」
「呼ぶ?」
「そうそう。モノクマ校長〜とか、モノクマ先生〜とか。あ、”モノクマ様”でもいーよっ。誠意をもって言ってあげたらすぐ駆けつけてあげるからさ。ただし、しょうもないことで呼ぶのは止めてよね。ボクだって忙しいんだからさ」
「わかりました。それじゃ困ったときに呼びますね」
「米倉……。仮にもそいつはおれたちを拉致した挙げ句、閉じ込めた連中だぞ。心を許すな」
「あ、そう…だね……」
「もぉ〜、つれないなぁ。速水くんのノリの悪さにはガッカリだよ」
「ほめ言葉として受け取っておこう。ところで、この部屋の鍵をあんたは持っているのか?」
「まっさか〜!!ルームキーなんて一部屋に一つだけだよ!」
「じゃあ、どうやって開けるんですか?」
「それはね〜……じゃっじゃじゃ〜んっ!!」
もったいぶってモノクマが取り出したもの。
それは、モノクマをモチーフにした青みがかった鍵だった。
「マスターキーッ!」
「マスターキー?」
「どこの扉でも開けられる鍵のことだ」
首を傾げる米倉にそう答え、おれはモノクマを睨みつける。
「それも一つしかないんだな?」
「もっちろん。でないとマスターキーなんて言えないしね!それじゃ、早速開けてみましょう〜!!」
うぷぷぷぷぷ、と気味の悪い笑い声を出しながらモノクマは鍵を間宮の 扉に鍵を差し込み、器用に回す。
それから……重々しい音を立てて扉は開いた。
「間宮!!」
モノクマには一別もくれず、おれは真っ先に扉の中に走る。
「なっ……?」
しかし、部屋に入ってすぐ、おれは目の前にとびこんできた光景に思わず足を止めた。
間宮の部屋の壁は、天井とその近辺を除いて一面が真っ黒に染まっていた。
よく見るとそれは全て数式だった。
縦横無尽に書き込まれた数式が、壁を覆い尽くして真っ黒になっているように見える。
ただ、なによりもおれが驚いたのは、ベットの上の壁で必死にペンを動かしていた間宮の姿だった。