二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: original ダンガンロンパ アンケート結果発表 ( No.62 )
日時: 2012/05/17 21:47
名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)


 騒がしくも何事もなく平和な昼食が終わった後。片付けを石蕗たちと済ませたおれは米倉、安積、笹川とともに自室前に戻っていた。


「こんな標識、おれたちがきたときはなかったぜ?」


 ドットのプレートをいぶかしげに睨み、笹川が唸る。


「しかしまぁ、ドットとはレトロチックだなぁ。おれはこういうの嫌いじゃないぜ。この時代のゲームはクソゲーも多いけど神ゲーも多いし、古きよき時代ってやつ?」
「全く……君はゲーム以外に話題はないのか?」
「24時間毎日つぎ込んでるからな」
「それだから目を悪くするんじゃないかっ!これを機に卒業したらどうなんだ!?」
「うるせぇやつだな。そんなに口うるさいから、彼女できないんだぜ」
「なっ? 僕は男子校の出身だとさっき言っただろうっ!?君だってその口癖を直さないと、いい伴侶に恵まれないぞっ!」
「はあぁっ!?大きなお世話だっての!!」


 また、始まったか。
おれは無言のまま、素早く安積と笹川の間から立ち退く。
 どういうわけか、さっきからなにかとこの二人はこうして不毛な論争を繰り返している。
あのときのように手を出すまでは今のところ発展していないので、止めはしていない。
おれとしては彼らを見守るばかりだ。


「仲良しだね、あの二人」
「そうだな」


 同じく熱く弁を振るう二人から離れた米倉が、笑みをこぼす。

初めて会ったばかりのはずが、あそこまでになると以前どこかで会っていたのではないかと疑うほどだ。

 御剣の言う痴話喧嘩、と思われても仕方ないだろう。
言えば、確実に双方から否定されるだろうが。


「不動くんも、いつかああやって打ち解けられたらいいね」
「……そうだな」


 なかなか決着のつかない二人の横で、おれは辺りを見回す。
やはり、この廊下におれたち以外の人影はない。
 食堂に残った石蕗と大山、雅、篠田を除いて殆どは食事が終わってすぐ部屋に帰っていったから、部屋にいるはずだ。


 結局、昼食が終わってからもしばらく待ってみたが、不動だけは一向に姿を見せなかった。

 来なくてよかった、と数人が言っていたにしろ、やはりこの極限下で独りっきりなのは危険だ。仮に犯人に接触すれば、ただではすまないだろう。

 とは言え、彼がどこへいるのかは、おれにも皆目見当もつかなかった。
もちろん確認がてら、部屋をノックしてしばらくインターホンも押し続けたが、返事はなかった。
 他のみなも、あの報告会以降、だれも不動を見かけていないらしい。

 最終手段(あまりすべきことではないのだが)として、モノクマを呼び出して尋ねてもみたが、はぐらかされてしまった。
ただ、部屋にはいない、ということだけは言っていたため、まだこの寮内をうろついていることは分かる。

しかし、この限られた空間で、14人のだれの目に触れられないのは、どうにも考えにくいのだが……。


「……それじゃあ、おれは先に」
「うん、バイバイ刹那くん!また後でね」
「あ、ああ。またな、速水刹那」
「今度会うときは、こいつをおれの前にひざまずかせるとこを見せてやんよ」
「だれがひざまずくかっ!!」


 また別の話題で火がついた二人をよそに、米倉に会釈する。
そうして、米倉が手を振るのを傍目に自分の部屋に入った。

 やるべきことは、確認だ。


「シャワールーム……だな」


 部屋に入ってすぐ手前の扉をくぐり、中に足を踏み入れる。
 材質は分からないが、黒いタイルが一面に敷きつめられたそこには、右手にトイレと洗面台、左手にシャワーが設置されていた。  シャワーの床下には、明らか高級感のある洗髪料とボディソープが、洗面台には大きな鏡と、櫛、歯磨き用品が一式と石鹸がおかれている。
 どこもやはり新品のような輝きだ。
使われた様子もなく、辺りを注意深く見ても、髪の毛一つない。


「これか?」


 違和感を覚えつつも、鏡の真横に貼られた紙に、おれは目を細める。
笹川の話によれば、これにシャワールームの使用についての注意事項が書かれているらしい。


「……なるほど」


 子供のいたずら書きのような文字を追い、おれは独り頷く。
笹川の報告通りだ。女子のシャワールームにはカギがかかることと、夜時間には水が出ないことが遠まわしに書いてある。


「確か夜時間は……」


電子生徒手帳を開いて校則のページを開ける。目的の項目はすぐに見つかった。

—2.夜10時から朝7時までを“夜時間”とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。

シャワールームは夜時間に使えない。
つまり、夜10時から朝7時までは使用できないことになる。


「あとは……例の毒、だな」


 不動の言っていた部屋にある毒。
あの言動からすると、どの部屋にもあるものということになるのはずだ……。

なぜ、不動が全員の部屋にあると断言したのか、理解できないがまずは判別が先だ。

 後ろ向きな発想かもしれないが、何が起こるか分からない。
誤飲という可能性だってある。
早く見つけだして、全員が処分しなければ。