二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: original ダンガンロンパ アンケート結果発表 ( No.63 )
- 日時: 2012/05/17 22:08
- 名前: 魔女の騎士 ◆klvlLaCD9M (ID: .7T494ht)
シャワールームに毒物らしいものがないことを確認し、おれはいったんシャワールームを出る。
そのタイミングを見計らったように、チャイムが鳴った。
ピンポーン
「だれだ?」
「おれおれー!花月だけどー!」
花月?
扉を挟んでも聞こえてくる声におれは、たじろぎながら扉を開ける。
「どうした?」
「ちょっと探し物しててさ。手伝ってくれないか?」
「探し物、とは?」
「菊の鞠。菊の母さんの形見なんだけど、どっか無くしちまったらしくて。な、菊?」
「は、はい……」
花月の背後から僅かに東雲の顔が覗き、こくんと頷き返す。
「分かった、手伝おう。ただ、少し調べものをしたい。その後でもかまわないか?」
「いいぜ。あ、そうだ刹那。ちょっと菊のこと見ててくれ。他の奴も呼びにいくからさっ」
「は?」
「…え? 京く……っ!」
おれの返事も聞かず、東雲の言葉も待たず、花月は彼女を置いて廊下の奥に消える。
確かあの方向には安積と米倉の部屋があったはずだ。
あの二人なら、まず快く引き受けてくれるだろう。
だが……
「…………」
「…………」
………参ったな。
花月がいない今、完全に思考停止状態の東雲に、どうしてやればいいか分からず、おれも押し黙る。
おれも彼女が自分を苦手なのは初対面で分かっているから、別にそう気に留めてはいない。
(本当は多少は気にしているが、怖がられるのは慣れている)
しかし、どうして花月はよりにもよっておれに東雲を見てるよう言ったんだ。
彼女がおれを苦手なことを知らないのだろうか。
「……おれが怖いか?」
「………はい」
辛うじて聞き取れるくらいの小さな声に、おれはため息をつく。
怖い顔と小さい頃から散々言われてきたが、元からこの顔だ。
努めて直るのなら、とうの昔に直っている。
「……悪いな。もとからこの顔なんでな。努力はするが、慣れてもらえるとありがたい」
「………」
返事の代わりに東雲は、ぺこりと頷く。
彼女がやると、まるで日本人形がお辞儀をしているようだ。
「話は変わるが、花月とは知り合いなのか?」
「……はい。
京くんは……幼なじみです。同じ町で生まれて、育ったんです。日本の文化が生まれた町で」
「日本の文化が生まれた町?」
「……はい」
しばらく日本に帰っていなかったせいか記憶が曖昧になっているが、確か祇園や大文字で有名な場所だったはず……。
「……京都、か?」
「はい……そう…です」
小さく微笑む東雲におれは内心胸をなで下ろす。
まだ目線を合わせそうにないが、自己紹介のときよりは多少なりとも、心を開いてくれたのかもしれない。