二次創作小説(映像)※倉庫ログ

54.Course to know. ( No.104 )
日時: 2012/02/16 15:20
名前: もずく・ (ID: vj3b3W/M)





「白竜、剣城くんが来てるって」


女性よりも綺麗な髪を持った白竜がゆっくりと振り返る。

すぐに彼の目には既にあたしではなく天井を見上げる姿に移り変わった。



「…待ちくたびれた。やっと…あいつが」




剣城くんと白竜は仲がよかった。
あたしもそんな2人を見るのがあの頃はとても楽しかった。


剣城くんが居なくなったあとの彼はまるで人が代わったようになってしまって。

笑顔を見ることさえ“珍しい”の一言で片付いてしまう気がした。



「嬉しい?」

「…嬉しい?そんな訳ないでしょう」


天井を見上げていた顔をあたしに向けて、
本当に嫌だと言うようにあたしを怪訝そうに見つめる。



「あたしは嬉しいよ」


白竜の笑顔が見たい。

ただ、それだけの願い。
真紘の笑顔を見取ることはできなかった。だからこそ。


笑って、あたしに安心させて。

自分が選んだ道なのに、不安なんだ。


怖くて、怯えて、昔のあたしのように無力になってしまうその前に。



「俺には貴方の考えていることがよく判りません」
「白竜が笑ってくれればそれで良いんだよ」



ただ、無力な自分が情けなくて


朝倉先輩の言うとおりかもしれないと自覚する。



過去を引きずって、錘としているとしたら

あたしにどうしろと言うの?






            ( あたしの知っている道はどこ? )