二次創作小説(映像)※倉庫ログ

[My world]003*悲しい心隠すように。 ( No.153 )
日時: 2012/02/28 17:25
名前: もずく・ (ID: vj3b3W/M)




「もしもし」
『アッくーん』


いつもの透き通るような、透明感のない声。

さっきまで泣いてましたって感じの掠れた、詰まったように聞こえた。


「何だよ、珍しいな電話してくるなんて。」

『何も無いよ?』
「じゃあかけんな」
『ひどい…アツヤの馬鹿あ!』


やばい、言い過ぎた。

花弥の声が聞こえなくなって、不安になる。
ごめん、本当は嬉しいんだ。
でも素直に伝えられないから、裏表反対に言葉が出ちゃうんだ。



「ごめ…」

『なーんてね!心配した?』


いつもの明るい声に切り替わる。

「は?」


いままでの俺の反省をひるがえすような花弥の元気な声に驚いた。
いや、もう驚くを通り越してムカついてきた。


『「ごめん」って言いかけたでしょ!アツヤに謝られたの初めて!未遂だけど!』

「う、うっせえな!切るぞ!?」
『アツヤ』


花弥の声がまた、沈む。


何なんだ今日は。暗くなったり、明るくなったり。

花弥はしばらく黙ると、もう1度俺の名前を呼んだ。



『アツヤ…あのね』


次の言葉を無言で待つ。
なかなか言おうとしない花耶に、焦りを覚え始めた俺は手汗が半端じゃなかった。

ケータイを持つ手が震えた。


最悪の事態を想定してしまうと、恐ろしく怯えてしまう俺を俺自身初めて知ったんだ。

別れ話だったりしたら、俺はその時どんな返事を返せばいい?



『声聞きたかっただけだから』

「あ?」
『だから、声が聞きたかっただけ』


そんだけか!


安心した俺はまた、裏表逆の言葉を投げかける。


「お前…うぜーわ本当」

『きゃー、ごめんねアッくん!えへへ』



ブツリと電話を切る。




              ( 悲しい心隠すように )