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カシャン、と何かが落ちる音がした。



たまたま実家に帰って久々に自分と士郎の部屋を覗き、
本棚に飾ってある、昔のアルバムを開いたとき。

大きめの包み紙がどこからか落っこちたらしく、中からカセットテープらしきものが散乱していた。



「なんだこのカセットテープ…」


綺麗な字で数字が書かれているカセットテープを拾う。


見覚えのある字だと思った。
どこかで、この字の書き方を見たことが　俺はある。
どこっだったかまったく覚えていないが。



すると突然誰かが階段を上がってくる音がして、ドアを開けて顔を覗かせると士郎がいた。



「あれ、何してるのアツヤ」

「見に来ただけ。」
「アツヤ、その手に持ってるカセットテープ…」


士郎が大きく目を開けて手元のカセットテープを見つめる。



「ああ、何かどっかから落ちたみたいでさ」

「それまさか聞いたの？」
「聞いてねーよ、つかコレ何？」


士郎はホッとしたようにため息をついて目を伏せると、俺からカセットテープを取り上げた。


そのまま床に散乱しているカセットテープも一緒に1つ1つ拾い上げると、大きな紙袋に再びしまった。



「アツヤにはまだ早いよ。」
「何が」
「何でもない。アツヤはまだ知らなくても良い事。いつか教えてあげる。」


士郎の顔が少しだけ曇ったように見えたのは、気のせいか？







　　　　　　　　　　　(　二人意味を探して。　)