二次創作小説(映像)※倉庫ログ

[My world]012【約束編】*明日の日へ散ってゆく。 ( No.188 )
日時: 2012/03/10 19:22
名前: もずく・ (ID: vj3b3W/M)
参照: 今日のあたしは壊れてる\^o^/



             ( 士郎Side )


僕と花弥ちゃんがしたアツヤには秘密の約束。


僕と花弥ちゃんと理人ちゃんとしたアツヤには秘密の約束。



いまから話す事は全て、アツヤには知られてはいけない約束の話 —— 。





*



「え?」


花弥ちゃんの悲しそうに笑う横顔が数センチ先にあった。

僕は彼女が数秒前に発した言葉を聞き返す。



「…筋肉がどんどん衰えて、話す事も、食べる事も、歩く事もできなくなるんだって」

「冗談だよね?」
「ううん、本当。」


花弥ちゃんは自分の手を青い夏の空にかざし、少しだけ微笑む。


どうしてそんな病気に花弥ちゃんが侵されなければならないのか?
ただ、アツヤと2人で幸せそうに過ごしているだけのまだ幼い学生なのに。

僕らが並んで座っている坂道沿いにある小さな公園のベンチ。

聞こえてくるのはジリジリと鳴く蝉の声だけ。



「迷ったんだ、私。」


手を元の位置に戻し、視線を下に逸らして花弥ちゃんは続けた。



「アツヤの悲しむ顔を見たくないけど、私自身、アツヤが隣にいないと気が遠くなってしまう。」

アツヤが花弥ちゃんを大好きなように、花弥ちゃんもアツヤの事が大好きというのは目に見えて判る。


「だけど、アツヤの重荷になってしまうなら、いっそ別れた方がいいって思う。」


「だけど花弥ちゃん、アツヤはそれでも別れるなんて嫌だって言うと思うよ」



少しずつ花弥ちゃんは僕の方へ顔を傾けると静かに笑った。

さっき見た悲しそうな笑顔でもなく、作り笑顔でもなく。



「だとしたら、それは私が嬉しいかな。」



だって、愛されてるって事でしょ?


公園に響いた花弥ちゃんの声がやけに大きく聞こえて

大きく聞こえた分、僕の胸にしっかりと留められた。








            ( 明日の日へ散ってゆく )