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　　　　　　　　　　　　(　士郎Side　)



「花弥ちゃん…」


病室のベッドパイプに体重をかける。

痩せ細った花弥ちゃんの頬は頬骨が突き出て老人のようだった。
もともと細かった腕も足も、筋肉が衰えて骨が浮き上がっている。


呼吸さえ自分で出来なくなってしまうまでに進行してしまった花弥ちゃんの病気。



「まだ…伝えなくて良いんだよね？」


僕は間違ってなんかないよね？



僕の弱音は寂しく病室に散った。

こんな時、元気な花弥ちゃんだったら何て声をかけてくれたかな。


もう少し待って、かな。
伝えるべきだよ、かな。



ねえ、君の願いは「病気が治るまで秘密」だったよね。



このまま秘密にしておいたら、2度と話す機会がないかもしれないよ？

僕はそんなの、残酷すぎると思う。



「 —— 花弥ちゃん…」



花弥ちゃんの手を握り締める。


冷たい。



君はもうすぐ息絶えてしまうの？




このままアツヤに会えないままでいいの？


……ねえ、花弥ちゃん、





　　　　　　　　　　　(　白昼夢　)