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　　　　　　　　　　　[Kiss×Kiss]My world番外編


中1の春、学校に行くのが楽しくてしょうがなかった。


サッカーが好きだから部活を楽しみにしてるとか
友人が増えたから学校を楽しみにしてるとか

違うな、そうじゃない。



俺は恋をしていた。




佐藤花弥


それが俺の好きだった奴の名前。

花弥は隣の小学校出身だったから、入学して初めて同じクラスになった。


花弥の笑顔はみんなを笑顔にする。
だからいつも誰か数人はあいつを囲んで談笑なんかしてるけれど
俺の耳に届く笑い声も、目に入ってくる笑顔も花弥以外ありえない。




『好き』



中1の夏、俺は花弥を呼び出して告白をしてやった。

あいつは真っ赤な顔をして、

『お願いします』と言ったのを今でも鮮明に覚えている。





そして今は中3の初夏。


「花弥」
「んー」


誰にも渡したくない。

今以上にこれからも愛し続けられるかなんて考えられないけれど、
花弥の笑顔を横で見ていたい。


まるで、はじめて恋するみたいに乙女な俺。


どうしたらその瞳に俺だけを映す？



愛しくなると、キスをする。
花弥はクスクス笑って「もう一回」とねだる。


奇跡とか運命とか、信じてなかった。



でも、俺と花弥が出逢えたことは奇跡や運命以外にどう表現したらいいか判らない。









…なんて言ったら笑われるから、伝える代わりにキスをするんだ



愛してるってことを —— 。











　　　　　　　　　　　　　　　Kiss×Kiss　作詞・作曲　柘植敏道
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　唄　　　　　　　宮野真守