二次創作小説(映像)※倉庫ログ

会いにいくよ 004 ( No.430 )
日時: 2012/06/17 19:18
名前: もずく・ ◆GJi12uWTrE (ID: vj3b3W/M)
参照: http://www.kakiko.cc/gallery/pickup.html


 004話 [ 優しい風が吹く ]



次の日、日置さんは白いワンピースを着て俺の部屋へ来ると「ついて来て」と俺を連れ出した。



電車を乗り継ぎ、辿り着いたのは青く輝く海だった。

潮の香り



隣にいる、日置さんの香り


気づけば俺は日置さんの手を握り締めて、日置さんの横顔を見つめていた。



その視線に気がついた日置さんは悲しそうに微笑み、ぎゅっと握り返す。






日置さんが離れていってしまうような、そんな予感がする。
だから握ったその手を引き寄せて力強く抱きしめた。


「風丸さん」
「・・・」

「風丸さん、ねえ」

「・・・なんだ?」


ポンポン、と背中を優しく撫でられる。



「一郎太さん、好きですよ」
「・・・日置、さん・・・」




過去を忘れられない俺を、好きだと言ってくれる日置さん。

それでもまだ、好きだと言ってくれる日置さん。




嗚呼、なんで俺はこんなにも馬鹿なのだろうか?

もう忘れたって良いじゃないか、未練がましい男。









「 ---でも、風丸さんには私じゃ無理みたいです


  風丸さんは私じゃない、あの人がまだ好きだから
  だから私はもう手を引きます。


  いままで有難う、風丸さん。
  大好きです、風丸さん。
  きっとすぐには風丸さんを忘れることは出来ないけれど、
  祈ってます。


  風丸さんがあの人へ過去と変わらない一途な想いを伝えられることを・・・ 」








ぶわりと優しい風が吹いた。



俺から離れた日置さんは昨日と同じように大粒の涙を流して微笑んでいる。





俺はその涙を拭うことは、出来なかった


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