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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 燦灯歌 -sanbika- ( No.439 )
- 日時: 2012/06/24 19:24
- 名前: もずく・ ◆GJi12uWTrE (ID: vj3b3W/M)
- 参照: http://www.kakiko.cc/gallery/pickup.html
(006)----分岐点6*/ 亜風炉照美
『もしもし』
「ああ、久しぶりだね」
『そうかな』
電話越しに聞こえる彼女の声はいつもより弱々しくて
僕に何ができるかと言えば、思い当たるのは“話を聞く”ことくらいで。
電話の向こうの彼女は一度鼻をすすると「少し待って」と言って受話器から手を離した。
『ズズッ、ズズズーッ ・・・あ、もしもし?』
「・・・もう少し女の子らしく鼻をかんだらどうだい?」
『そうは言ってもねえ・・・』
きっと、鼻が赤くなっているんだろうね。
僕には想像ができた。
彼女の顔が見えなくても、どんな風に受話器を持っているかも。
だって生まれて何年一緒にいたかな。
15年、かな。
それだけ一緒にいれば嫌でも感情や次の行動がわかってしまう。
『ねえ照美。私さ』
「なんだい?」
『国立の高校狙おうと思うんだ』
彼女の夢は医者になること。
僕が大怪我をして入院した時、初めて彼女は夢を語った。
--誰かを守れるような強い大人になりたい
--誰かを助けるようなそんな大人になりたい
------私は照美を守りたい
そう彼女は言ったのだ。
「大丈夫なのかい?」
『馬鹿にしてんの?成績は良い方って知ってるでしょ』
「そうじゃなくて」
『もしかして会えなくなるから寂しい〜っ!・・・とか?』
「ばっ・・・!!!」
焦る僕に彼女は小さく笑って“ありがとう”と呟いた
( 想われる者と亜風炉照美 )
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