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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 木蓮 ( No.460 )
- 日時: 2012/08/10 19:14
- 名前: もずく・ ◆GJi12uWTrE (ID: vj3b3W/M)
001話 [ 不意の笑顔が ]
帝国学園の卒業式は4日前を目前にしている。
クラスの大半は帝国学園高等部への進学を控え、
また大半は地方の有名高校への受験、進学を控えている。
俺 ——— 佐久間次郎と言えば、後者の進学を控えている状態だ。
「佐久間、ここ、教えてくれないか」
「ああそこは・・・」
俺の親友であり、相棒であり、サッカーを共にしてきた源田が数学の教科書と共にやって来る。
そうか、卒業したらサッカー部のみんなと会えなくなるのか。
こうして今まで当然のように過ごしてきた、辺見とも
・・・なんだ、別れって案外簡単だな。
「佐久間?」
「悪い・・・すまないがまた後でもいいか」
「いいけど・・・どうしたんだ」
感傷に浸ったなんてことは死んでも言えない。
適当に誤魔化して、何でもないようなフリをすればいいだけ。
だけど今の俺にそんな余裕はなかった。
自分が卒業と言うだけでこんなにも仲間と離れることを嫌がるなんて。
ああ、ああ。
「佐久間くん、卒業するのが嫌なんでしょ」
フと横を通りかけた同じクラスの女子・・・大川ことぶきが俺の心理を読み取った。
平然とした顔で俺を見つめる。
「・・・そんなこと、」
「判らなくもないよ佐久間くんの気持ち。ね、源田くん」
「え?あ、ああ」
同情なんか欲しくない
そんなの悲しくなるだけ
でもちょっとだけ安心するのは俺の本音。
嗚呼、俺だけじゃないのか。
俺だけではない。
こんな気持ちになるのは、みんな一緒、なのか。
「一生会えなくなるわけじゃないんだから、たかが中学の卒業なんてさ」
大川は不意に笑顔をみせる。
トクリ、
え?
( 不意の笑顔が )
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