二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 工業女子!、 [ inzm小説集 ] ( No.466 )
- 日時: 2012/07/02 18:10
- 名前: もずく・ ◆GJi12uWTrE (ID: vj3b3W/M)
005話 [ ずっと、ずっと ]
*卒業当日*
胸に赤い花のコサージュをつけた俺たち3年生。
最後にこの帝国学園中等部で歌う、『卒業の日』。
鼻をすする音と、しゃくりあげた声。
俺はどちらにも属さずただ平然と、釈然と歌う。
それは俺だけではなく、隣りで歌っている源田も大川も一緒。
俺と源田とサッカー部は、卒業式の後に雷門や他校と卒業試合を予定していた。
どちらかと言えば、卒業式なんかよりもそっちの方が楽しみに決まっているし、
最後になれば涙だって込み上げてくるだろう。
そんなくだらない事を考えている内に式は終わり、教室へ戻される俺たち。
「さあ!ここからが本番だよみんな!!」
涙する場面を構わず声を張り上げた山本。
そうだ、先生にサプライズ企画を予定していたんだ。
その声にみんなは涙を拭いて準備に取り掛かり始める。
俺たちはただ唖然とクラスを眺めるだけ。
「ちゃんとメッセージは出したのか?」
俺の質問に大川は少し眉をひそめて
「出したよ」
と不服そうに告げた。
その後はいつも通りバカみたいに笑いあって、「そういえば大川」と源田が言いかけたとき
山本がこっちに来るのを察した俺たちはそそくさと自分の席へ着席をする。
ガラリ、
教室のドアが開いて、担任が入ってくると同時にパァン!というクラッカー音
驚いたのは担任どころか俺たちの方で。
「先生!3年間有難う御座いました!」
「先生に皆からプレゼントです!」
長引きそうな雰囲気の漂う教室。
そんなのはごめんだ、と言うように3人は顔を見合わせ身を縮こませて
そっと後ろのドアから教室を離れる。
駆け足で裏門をよじ登って学校を出れば、笑いが込み上げて
ああ、こんな楽しいことが人生であったのかなんて知った。
( ずっと、ずっと )