二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 死にたがり少年N ( No.488 )
- 日時: 2012/07/15 18:08
- 名前: 兎欠 ◆GJi12uWTrE (ID: vj3b3W/M)
- 参照: http://mynmmr0608.anime-voice.com/
@004 [ 錆びた月は地に沈む ]
「ま、何があったかは聞かねえけどよ。つーかそんだけ怯えてちゃ聞けもしねえだろ。」
不動明王と名乗る男は俺を見下すと興味なさげにため息をつきながら言い放つ。
俺を助けてくれたのは綱海条介というピンクい髪の奴と、不動らしい。
「助けてくれなんて・・・一言もいってない」
「はあ?助けてやったのに感謝の言葉もでねーのか」
「放っておいてくれれば俺は死ねたかもしれないのに!」
俺の言葉に不動はチッと舌打ちをして近くにあった小物を蹴り飛ばした。
そうだ俺は助けてくれなんて一言も言ってない。
俺は死にたかった。
放っておいてくれさえいれば寸止めで生かされても死ねたかもしれない。
そうだ、そうだ、そうだ!!
なんで俺を助けたりしたんだ!
あと少しで・・・あと少しで罪滅ぼしを成し遂げられたのに!
「そんなもんなのか」
刺々しい空気の中、その均衡を破ったのは綱海だった。
無意識に頭を抱えていた俺の手をギリギリと掴み離さない。
カーテンが引かれている暗がりの部屋でも分かる。
綱海だけではなく、不動や飛鷹も冷たい視線で俺を見ている。
なんだ
俺が悪いのか
なんなんだ!!
死にたいと思うことが駄目なことなのか?!
「離せ!何が感謝だ何がそんなだ!!分かんねえ!俺にはあんた等が分かんねえ!!理解できない!」
勢いで立ち上がるが綱海の手は離されない。
何度腕を上下に振り下ろしても何年も床にへばりついたガムのようにビクともしない。
「命を粗末にすることは、そんなに簡単なことじゃないだろう!」
「うるせえ!うるせえ!聞きたくない、黙れ!黙れ!!」
「聞け!」
バチン、
目眩がする程の圧力と重力が一度にのしかかった様に頬に痛みが走る。
殴、られた?
「死ぬのが怖いから怯えているんじゃないのか力牙」
今まで黙り続けていた飛鷹が口を開く。
今は全て雑音に聞こえる。
ビリビリと耳鳴り。
脳みそが掻き回されたようにガンガンする。
なんで俺がこんな目に遭わなければいけないんだ。
「何を抱えている、力牙。なぜお前の眼は光が灯っていない?」
知ってるか
錆びた月は地に沈むんだ
朝姿を消して夜姿を現す月。
夜姿を消して朝姿を現す太陽。
絶対条件には副作用がある。
それはなにか?
“見えない部分”そのものだ。