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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 木蓮 ( No.498 )
- 日時: 2012/07/29 20:01
- 名前: 兎欠 ◆GJi12uWTrE (ID: vj3b3W/M)
- 参照: http://mynmmr0608.anime-voice.com/
@008[ とこしえに ]
また、春がやってきた。
3年前、この学校の中等部で俺たちが始めて出会った春に。
「----春は新しいことを始める良い機会で・・・」
長々しい高等部校長の話を真面目に聞いている奴は多分いないだろう。
そしてそれを校長は知っていて、期待などしていないに違いない。
大きな体育館に反響する校長の声はただこの場面には似合わなく虚しい。
ただ、それを誰も校長も当然だと思っていることがありふれた風景なのだ。
隣りで欠伸するクラスメイト。
その隣りで居眠りするクラスメイト。
隣にいない、元クラスメイト。
隣にいる、去年と同じクラスメイト。
「源田、大川は元気なのか」
「ああ。毎日電話してるけど元気そうだよ」
それはもう、とっくに俺には手の届かない人になってしまった。
悲しくなんかない。
むしろ嬉しいはず、だ。
隣に座る源田の彼女を好きだった事実を後ろめたくさえ思わない。
俺って案外サッパリしているのかもしれないな、なんて症に合わないことを考えてみた。
昔、大川はこんなことを呟いていた
“木蓮になりたい”
昨日、木蓮を調べてみた。
ちょうど今頃咲き始め、終は劇的だと。
花言葉は“自然への愛、持続性”
俺は大川の言葉にこう答えたのを覚えてる
“もっと別のものに生まれ変わればいいだろう”
花になんてなって、何の意味がある。
きっとその時の俺はそう思ったのだろう。
今でもなぜ大川が木蓮になりたいのかは分からない。
分からない故に、俺は大川のことをも分からないのかもしれない
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