二次創作小説(映像)※倉庫ログ

木蓮 ( No.504 )
日時: 2012/08/13 22:25
名前: 兎欠 ◆GJi12uWTrE (ID: vj3b3W/M)
参照: http://mynmmr0608.anime-voice.com/

最終話 Ⅰ/Ⅱ [ また春が来て ]





ザアザアと雨がアスファルトを叩きつけた。

空は時折ピカリと稲妻を走らせ、何秒か置いた後、ゴロンと音を立てる。
偶然か必然か、この日に限って傘を忘れてしまうとは。
走って駅まで帰るもよし、迎えを待つのもよし。


しかし今の俺は両者の気分ではない。


高校と大学を卒業して早3年の月日が経つ。


研修と出張から始まった就職先はニューヨーク本部。




ありふれた事であろうが、どれだけ親や周囲の人間から祝福の声をかけられたものか。
英語は得意ではなかった。
故にニューヨークに行くことを躊躇ったものの、やはり決断は現状あるようになっている。




「やあジロー」

「マーク!」



俺の肩を叩いたのは、黄土色のくせっ毛の髪で、


鼻が高くグリーンの瞳。
マーク・クルーガーだった。



アメリカ代表の時から大分身長が伸びて大人っぽくなった。


マークとは会社が一緒だ。




「どうしたんだ、暗いな」

「傘を忘れてさ」
「ああ、突然の雨だったからね!」


くすくすとマークは上品に笑う。







--------------不意打ちの、笑顔。


『一生会えなくなるわけじゃないんだから、たかが中学の卒業なんてさ』







それは、頭の片隅に追いやったはずの記憶





『・・・卒業したくないな』



『  木蓮の花の終わりはね、劇的なんだよ  』














『           木 蓮 に な り た い            』






「ジロー?」




咄嗟にカバンの中にある携帯を取り出した。




今は何時だ?






22:47

まだ、最終便には間に合う、はず







「ジロー!どこに行くんだ!」



走り出した。
ただ、真実を知るために俺は、最終便へと駆け込んだ